2024年04月23日( 火 )

殺人マンション裁判の顛末~毀損された強度・資産価値を適正な状態に戻せ!(10)

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日本を代表する大手K建設 殺人マンションの顛末

建築裁判の難しさ

 ――建築裁判について 仲盛さんが感じたことはありますか?

 仲盛 仮に不適切な設計や施工により構造的に強度不足になっていたとしても、現状で特別な不具合が無ければ、裁判としては勝ち目がないといえます。それ故、建築裁判においては、「強度不足」「安全上の問題」を争点とせず、「法令違反」「違法性」に主眼をおくべきです。
 裁判になった場合には、これまで述べたようなデメリットがあるので、裁判に至る前に 販売業者などと協議し 円満に解決することが理想的であることはいうまでもありません。
 マンション販売業者などを相手に裁判を起こすのであれば、区分所有者の集団ではなく、管理組合が原告となるべきだと思います。「適法な建物に戻してくれ」という訴えであれば 訴訟費用は それほど掛かりません。

 ――行政(久留米市)を相手にした裁判において感じたことはありますか?

 仲盛 久留米市を相手取った訴訟や東京の豊洲市場の裁判で感じたことは、日本の裁判所は行政に忖度するということです。裁判所も役所であり 裁判官は公務員です。役所や公務員を守ろうという意識があると思います。彼らは、社会秩序の安定と身の保全が最優先ですから。こういったところに、官と民の立場の違い、官同士の忖度の強さなどを感じました。

 ――大企業を相手にした裁判において感じたことはありますか?

 仲盛 大企業は 資金的にも余裕がありますから、裁判を長引かせた分だけ大企業の方が有利になります。マンションの区分所有者は所詮、個人の集まりですから、資金にも限界があるし、裁判が長期間におよべば 櫛の歯が欠けるように結束が乱れていきます。
 原告の区分所有者の温度差もあります。熱心に裁判に取り組む人、自分は何も動かず人任せの人など様々です。区分所有者のなかには裁判に反対の方もおり、マンション内に怪文書を配る・原告の結束を乱すような言動をするなど、被告の回し者かと思える行動を取る人たちもいました。
 1審判決後に控訴をされた場合、1審の判決が2審判決言い渡しまで効力があり、また、相手の資産を差し押さえすることもできるので 1審の勝利を目指して全力を尽くすべきです。大企業が口座を差し押さえられれば、手形の決済もできず、金融機関からは 期限の利益を失したとして借入金の一括返済を迫られ、事業の継続が困難になります。

 ――弁護士の能力の差が裁判を左右すると思いますが、どう感じておられますか?また、久留米のマンションの裁判における 被告側弁護士はどうでしたか?

 仲盛 その通りです。裁判は法律に基づく裁判官の判断を勝ち取るための勝負ですから、総大将である弁護士の能力が勝敗を左右します。
 弁護士にはずる賢さも必要なようで、この欠陥マンションの裁判において、被告ゼネコン側のY弁護士は 裁判所から提出を求められた資料を提出せず、「次回期日までに提出してください」と催促されても 次回期日までに提出しないことが3回もあり、裁判官への非礼な振る舞いや原告への嫌がらせを繰り返しました。この被告ゼネコン側のY弁護士は2019年度より福岡県弁護士会の会長に就任しています。弁護士会の会長としては、いささか品位に欠けると感じているのは私だけではないと思います。しかし、これが普通なのかもしれません。このような姿を見て、弁護士とは決して弱者の味方ではないということがわかりました。
 一般的に 弁護士は正義の味方のような錯覚を抱いている方が多いと思いますが、現実は真逆で、弁護士は 社会的弱者にさらなる金銭的負担を強いているのです。
 委任を受けた際に着手金を取った上、毎月定額の費用を取りますので、裁判が長引いたとしても 弁護士は痛くも痒くもありません。弁護士とは 時間の経過とともに 弱者たる依頼者をさらに窮地に追い込む存在に過ぎません。

(つづく)

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