2024年04月24日( 水 )

【韓国元大統領顧問が語る】韓国が30-50クラブに加入~悪化する日韓関係を乗り越えて、より良い両国発展の道を

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劉鍾海 氏

 韓国の元大統領顧問で、延世大学教授などを歴任した劉鍾海氏が3日、福岡市内でインタビューに応じ、悪化する日韓関係の今後について語った。

 韓国は今年4月、国際社会で7番目となる「30-50クラブ」の加入国となった。「30-50クラブ」は、「1人あたりの所得が3万ドル(30 thousand)以上/人口が5,000万人(50 million)を超える国」で、これまで日本が最初にクラブの加入用件を満たし(1992年)、ほかに米国、英国、ドイツ、フランス、イタリアなど計6カ国が加入していた。

 SAMSUNGに代表されるグローバル企業の好調さに目が行きがちな韓国経済だが、劉氏は韓国の経済成長について楽観視していないという。

 「日本でもかつて問題になったように、韓国でも〈DINK族〉と呼ばれる、共働きで子どものいない世帯が増えています。今後、急激な人口減が訪れることは間違いなく、日本とともに韓国も岐路に立たされているのです」(劉氏)
※DINK族=Double Income No Kids

 日本以上に熾烈な受験戦争や、財閥系重視の経済施策、若者の就職難など、韓国特有の問題も人口減の背景にあると分析する劉氏。「生き残るのは財閥系ばかりで、入社できる人の数も限られている。中小企業はまさに〈殺されて〉いる状況にある」と国内基盤の脆弱さを指摘したうえで、現政権が「親北路線」を選択したことにも懐疑的だ。「北朝鮮と一緒になるとすれば、韓国は現在の経済水準を落として北朝鮮に合わせなければならなくなる。今の韓国人が生活レベルをあえて下げることに耐えられるだろうか」(劉氏)。

 現在の日韓関係の悪化を非常に憂慮している、と語る劉氏。「明治維新をはじめ、韓国が日本に学ぶべき点はまだまだ多い。生活水準を維持するのが自分たちの義務であり、韓国は日本や米国と協力する道を模索すべきだ」と述べ、日韓協調路線への早急な方針転換の必要性を示唆した。

<プロフィール>
劉鍾海(ユ・ジョンヘ)

1931年生まれ。ソウル高校からソウル大学法科を経てソウル大学行政大学院を修了。米ミシガン大学で政治学博士号を取得。延世大学行政学教授、行政大学院院長、韓国行政学会会長、初代矯政学会会長、大統領政策諮問委員(大統領顧問)、総理室地方自治研究委員(地方議会)、韓米協会理事、ソウル大学総同窓会副会長/永年教育に関する功労賞(大統領褒賞:金泳三大統領)、民主平和統一協議会20年勤続褒賞(大統領褒賞:金大中大統領)など

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