2024年04月24日( 水 )

美談の裏で─ライオンズクラブ337-A地区と朝倉災害支援─(5)

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337-A地区の登場

 公益財団法人朝倉青年会議所の有志をはじめ、地域の方々の献身的な復旧活動により朝倉市立松末小学校に山積した土砂や流木などが除去された。しかし、予算的な限界があり、同校のすべての施設や設備が改修・改装されたわけではなかった。

 そのひとつに同校体育館の床の改修が挙げられる。前回までの連載で記した通り、地域住民から「閉校・廃校となる松末小学校最後の卒業式は、きれいな床の体育館で開催し、卒業生を送ってあげたい」という機運が高まってきた。しかし、残念なことに朝倉市の予算で床を改修することは、不可能という判断が下った。

 同校をはじめ学校などの教育関連施設は、同市の教育課が実務的なマネジメントを担っている。同市の教育課に取材したところ、「松末小学校体育館の件について、地域の皆さまのお声は、こちらにも届いておりました。心情としては、地域の方々の熱いおもいの通りです。

 しかし、市としては、それに対して予算を投入することは不可能でした。なぜなら、ほかの事案も多数あり、最優先しなければならない復旧工事などがあったのです。当時、現実問題として松末小学校の体育館の床改修より、早急にやらなければならない復旧復興の案件が多数あったのです」という回答を得た。

 同市の力による同校体育館の床改修工事は不可能となったが、地域住民の情熱は冷めることがなかった。「何としても床の改修を実現させたい」という一心だったと聞いている。

 同市は、ブルーシートを敷いて同校卒業式・閉校式を行うことを想定していたが、「それは、あまりにも同校の卒業生と在校生たちが不憫」となり、再考されることとなった。

 そんななか、同市は2017年11月15日付けでライオンズクラブ337-A地区ガバナー(当時)宛に同市市長(当時)の市長印が押印された要望書を提出している。その要望書とは、同校体育館改修の要望である。その内容は、以下の通りである。

 「平成30年(2018年)3月をもって廃校の予定であった松末小学校は、今回の豪雨災害で大きな被害を受けましたが、地域住民の方々が中心となり、損壊を免れた体育館で閉校式及び卒業式を行うことができるよう、復旧に取り組んでこられました。また、地域住民の方々は、来年4月以降も体育館を地域の拠点施設として活用したいと願っており、そのための改修について、ご支援いただけますようお願いします。なお、本市としては、今後、同じような豪雨があったとしても災害が防止されるような河川復旧や砂防対策を河川管理者等に求めているところです。また、建物本体の耐力度についても測る必要があると考えています。将来的なコミュニティ施設としての活用方針については、これから安全性を考慮したうえで今後、地域住民の皆様と協議を行ってまいりたいと考えています」

 LC337-A地区は、同校体育館の床改修工事の支援に向けて動き出す。

(つづく)
【河原 清明】

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