美談の裏で─ライオンズクラブ337-A地区と朝倉災害支援─（6）

LCIF理事長の来訪

　ライオンズクラブ337-A地区は、2017年7月に発生した九州北部豪雨災害に向けた復興・復旧支援のために、災害対策本部を立ち上げ、本部長には当時のガバナーが、実行委員長には当時のキャビネット幹事がそれぞれ就いた。

　対策本部が立ち上がった後、すぐに復興・復旧支援のための活動が始まり、被災地の現地視察や住民への励ましなど全力のサポートを実行した。とくに実行委員長は、自ら陣頭指揮をとりながら、寸暇を惜しみ精力的な支援活動に勤しんでいた。「実行委員長は、ひたむきに取り組んでおりました。本当に頭が下がるおもいです。被災地のために、自ら汗水流しておりましたよ」と語るのは当時支援活動に携わったLC337-A地区の幹部の1人。

　そんななか、同年9月にLCIF（Lions Clubs International Foundation：ライオンズクラブ国際財団）のボブ・コーリュー理事長が来日し、朝倉の被災地を訪問した。訪問当日は、あいにくの雨だったが、ボブ・コーリュー理事長は、災害状況を視察、当時の状況について関係者に質問し、その説明を熱心に聞いていた。そして、被災した地元の方々に温かな労いの言葉を送っていた。「足下が大変悪いなかでも、ボブ・コーリュー理事長は時間をかけ、被災地に寄り添っていただきました。地元の方々は失意の真っただ中にありましたが、理事長の訪問と励ましの言葉で、気力が沸いてきたことは明らかでした。本当に勇気をいただきました」と地元関係者は語る。LC337-A地区の対策本部は、実行委員長はじめメンバーの尽力により、被災した方々に多大なる貢献をしたのだ。

　ボブ・コーリュー理事長は、朝倉市立松末小学校にも訪問した。ボブ・コーリュー理事長は同校の惨状を目の当たりにし、言葉を失っていたという。そして、「被災地の復興にできる限り協力させていただく」と表明した。それには、同校の建物、校庭および施設などの復旧・改修工事の支援も含まれていた。つまり、LCIFの財源を活用することが内定したのである。LCIF側から見ると、地域の方々から同校への支援要請が直接あり、それに応えたかたちとなった。

　しかし、その後、内定が翻ることになる。対策本部の関係者によると、「LCIFの資金を使わせていただくことは大変光栄です。しかし、我々337-A地区で支援させていただきたいと思っています。こちらに寄せていただいた義援金を活用することが望ましいと存じます」とする提議を行った。協議の結果、LCIFの財源ではなく、LC337-A地区から支援することに決まったのだ。

　「理由は不明ですが、対策本部側は半ば強引に、337-A地区で支援することを決めた」とするLC337-A地区に属するクラブメンバーからの情報が複数あった。いずれにせよ、LC337-A地区による同校の復旧支援が決まった。「その決定については、崇高ですばらしい姿勢です。LCの信条に沿った支援活動になることを期待しておりました」（前出337-A関係者の1人）と当時の決定に対して、賛同する意見が多かったという。

（つづく）
【河原　清明】