芸術・文化のまち復権へ 副都心・池袋の再開発(後)
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東口・西口でも多数の再開発
池袋駅周辺地域は、15年に都市再生特別措置法に基づく特定都市再生緊急整備地域に、16年には東京都が外国企業誘致プロジェクトとして推進している「アジアヘッドクォーター特区」にそれぞれ指定された。池袋駅東口側から見ると、2本のタワーマンションが建つ「南池袋二丁目C地区市街地再開発事業」は、20年度に着工予定だ。
サンシャインシティ前の造幣局東京支局跡地は、敷地面積約3.2haのうち1.7haに防災公園、1.0haに東京国際大学、0.5haに住宅を中心としたにぎわい施設(暫定活用として保健所移転とキッズパーク)を整備する。
「ハレザ池袋」からも近い「東池袋一丁目地区(市街地再開発事業)」(事業協力者・住友不動産、エリア1.5ha)は、19年5月には国家戦略都市再生プロジェクトに追加され、20年の都市計画決定を予定している。
次に池袋西口に目を転じると、まず大型プロジェクトである池袋駅西口地区(市街地再開発事業)(事業協力者:三菱地所、三菱レジデンス、エリア・5.9ha)は準備組合が設立済みで、21年度に都市計画決定を予定している。近隣では西池袋一丁目地区の再開発事業も検討され、18年3月に準備組合が設立された。このほか、国際アート・カルチャー都市の実現に向けた公園の劇場化を目指し、池袋西口公園を大規模改修、19年11月16日にリニューアルオープンした。
さらに着工時期は未定だが、池袋駅に東西を結ぶデッキを設けることで、駅にさえぎられている東西の移動をスムーズにすることも検討中だ。
芸術・アニメの聖地へ
豊島区は、演劇、伝統・芸能、マンガ・アニメを軸とした国際アート・カルチャー都市を目指し、多様な文化が共存する「文化戦略」、豊島区の魅力を世界に発信する「国際戦略」、出会いが生まれる劇場空間を街中に創造する「空間戦略」の3つの戦略を柱に、世界中の人々を魅了し、持続発展する都市へと再生しようとしている。
19年には、豊島区、中国の西安市、韓国の仁川広域市の3都市が協力し、年間を通じた文化プロジェクト「東アジア文化都市2019豊島」が開催。2月1日には、東京芸術劇場コンサートホールで開幕式典を開催し、豊島区内で演劇や伝統・芸能、アニメ・マンガなどのイベントが催されたほか、中国や韓国からもゲストを招き、3国の関係の強化が図られた。11月24日には、東アジア文化都市2019豊島がフィナーレを迎え、20年の開催都市である北九州市への引き継ぎ式などを行った。
このほか池袋には、アニメ・コミック・ゲーム関連商品の販売チェーン店の1つであるアニメイト本店があるが、何といっても南長崎に「トキワ荘が存在していた」ことの意味は大きい。トキワ荘は手塚治虫や藤子・F・不二雄、藤子不二雄A、石ノ森章太郎、赤塚不二夫らの著名な漫画家が居住していたことで知られており、漫画の“聖地”として豊島区により復元施設の建設が進められ、マンガ・アニメで豊島区を世界中に発信しようという試みが計画されている。
また、11月から電気バス「イケバス」が走り始めた。同バスは池袋駅周辺の4つの公園を周遊し、池袋の価値を高め、豊島区の魅力を伝えることを目的としたもの。池袋が歩行者中心のまちへとシフトしていくなかで、観光バスとしても活用していく考えだ。また、現在、豊島区内にある認可保育所112施設のうち約7割には園庭がなく、近所の校庭や公園を活用している状況だが、20年6月には「キッズパーク」(東池袋)が開業。同パークへは、イケバスを利用した送迎も予定されている。
「現段階で豊島区は消滅危機に直面しているわけではないが、将来を見据えた、魅力的なまちづくりの対策が必要である」――。現在、池袋を中心とした各所で再開発をともなったまちづくりが進められている豊島区だが、その契機となったのは、14年5月に消滅可能性都市に入れられ、その危機感を共有したことにあったといっても、過言ではないだろう。
(了)
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