新電力も敵わない 九電の電気料金値下げ攻勢
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電力の自由化により、全国に「新電力」と呼ばれる電力供給会社が登場して久しい。これまで地域の電力供給を担ってきた大手電力会社は、安く電力を供給できる「新電力」にシェアを奪われていたが、その構図も変化しているようだ。
電気は色もなく、カタチもない。差別化できるのは、基本的には価格しかない。安定供給も大事なポイントだが、安値競争が発生するのは当然だ。法人であれ、一般家庭であれ、1円でも安い電気を使いたいと思うからだ。価格勝負になれば、供給する側は自分の首を締める結果にも繋がりかねない。
たとえば、新電力の大手、㈱F-POWER(東京都)は18年6月期、19年6月期とも売上高約1,600億円を計上しながらも、100億円を超える巨額の最終赤字を計上している。企業や官公庁にも電力を供給している同社だが、価格競争で他社から契約をひっくり返しても、利益が残らなければ事業の継続は厳しくなる。
新電力同士の競争も激化するなか、九州では「九電の安値攻勢」が顕著だと業界関係者は言う。「先日、ある学校法人に電力切り替えの提案を行った。是が非でも取りたい契約だったので、極限まで価格を下げて提案したところ、担当者に『九電さんはさらに安い価格できてますよ』と言われました」(同関係者)
取ったり取られたりを繰り返す業界だ。九州で活動している新電力会社の代表は「九電が新電力以上に安い値段で提案し、過去に取られたシェアを取り返しにきている。弊社がひっくり返された契約の8割は九電によるものだ」という。
まさに「肉を切らせて骨を断つ」作戦だ。シェアを取り返すことで、新電力を疲弊させ、撤退に追い込む。その後、多少の値上げで利益率を改善させればいいという方針だろうか。競合する以上、共存共栄とはいかないようだ。
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