2024年04月20日( 土 )

リクルートキャリアのリクナビ問題は~人材データの利活用のあり方が問われる事態に飛び火(後)

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求人情報検索の米インディード買収が転機

 故・江副浩正氏によって1960年にスタートしたリクルートは就職情報誌、結婚情報誌、住宅情報誌で事業を拡大した。

 転機は2012年。その年、新社長に就任した峰岸真澄氏は、リクルートをグローバルIT企業へ転身させることを決断。求人情報専門検索大手の米インディード(Indeed)を約1,000億円で買収した。インディードは、今や「人材業界のGoogle」と呼ばれる巨人に大化けした。

 「仕事探しは~~~♪」
 「バイト探しは~~~♪」

 テレビCMでよく見聞きするフレーズだ。

 インディードは、米国を発祥とする、求人情報専門の検索エンジンを手がける企業。リクルートHDのHPによると、〈インディードは、従来のDODAやマイナビのような求人広告サイトよりも、ヤフーやGoogleのような検索サイトに近い〉と説明している。

 ヤフーやGoogleなどと同様の検索エンジンだが、インディードは求人情報に特化した。 求人サイト、新聞などのメディア、各種団体、企業の採用ウェブページなど、数千のウェブサイトを巡回して求人情報を収集。独自のAI(人工知能)テクノロジーを駆使し、求職者の検索条件に合わせて一覧表を表示する。求職者が履歴書を登録し、探したい仕事を打ち込むと、経歴や特性に適した仕事が表示されるという仕組みだ。

HRテクノロジーの強化で世界一の人材会社を目指す

 リクルートは大きく3つの事業に分けている。メディア&ソリューション部門は、リクナビ、タウンワークなどの人材、SUUMO、じゃらんなどの販促。創業事業である紙媒体の減少で進出した人材派遣部門にはスタッフサービスなどがある。

 そして、HRテクノロジー部門。人材活用の領域にクラウドや人工知能(AI)など新しい技術を融合した付加価値の高いサービスを第3の柱に据えた。中核はインディードだ。

 リクルートHDの2019年4~9月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高に当たる売上収益は前年同期比5%増の1兆2,012億円、純利益は23%増の1,141億円だった。求人検索サイトの米インディードが好調だった。        

 HRテクノロジー部門の売上収益は38%増、EBITDA(利払い・税引・償却前利益)は84%増と高成長を遂げた。HRテクノロジーの強化で、30年に人材会社として「世界一」を目指す。そのカギを握っているのが、「人材業界のGoogle」といわれるインディードなのだ。

 リクルートは、人材サービスにテクノロジーを活用する「HRテック」に力を入れる。AIを応用して、人材育成や採用活動、人事評価などの人事領域の業務のサービスだ。HDテックを企業が導入することに期待が膨らんだ。その矢先に、リクルートキャリアがAIを活用したリクナビ内定率問題で大チョンボ。HRテックの痛恨の汚点となった。

(了)
【森村 和男】

(中)

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