2024年04月16日( 火 )

簀子小跡地が医療・福祉のまちへ 桜十字らが病院や体育館整備

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統合で空いた約2,500坪の小学校跡地

©︎2019(株)桜十字

 福岡市が2019年3月から事業者の公募を行っていた「簀子小学校跡地活用事業」の優先交渉権者として、(株)桜十字(熊本市南区)を代表企業とし、九州旅客鉄道(株)(以下、JR九州)ほか6社からなる企業グループが選定された。

 同跡地活用事業は、1912年3月に開校し、2014年4月に大名小学校や舞鶴小・中学校との統合再編のために閉校となった「福岡市立簀子小学校」(中央区大手門)の跡地約8,500m2において、その活用法を検討していたもの。同跡地は、小学校閉校後しばらくは、新設された舞鶴小中学校の第2運動場・第2体育館として学校活動や地域行事のために利用されていたが、学校施設としての利用上の制約や既存体育館の老朽化により、機能継続への課題を抱えていた。

 そこで福岡市では、地域の代表や学識経験者などで構成する「簀子小学校跡地活用会議」を設置し、18年11月に「簀子小学校跡地活用方針」を策定。学校施設が担っていた地域行事の場や災害時の避難場所としての役割のほか、同跡地のすぐ南側に隣接する約3,000m2の簀子公園を始め、大濠公園や舞鶴公園に近接する立地的特性を生かした魅力ある活用法が期待されていた。

 この方針に基づき、19年3月から事業者の公募を開始。そして19年9月25日に、桜十字を代表企業とし、JR九州、JR九州シニアライフサポート(株)、(医)福岡桜十字、(医)愛光会、(株)山下設計、(株)NAK建築事務所、(株)俊設計の計8社で構成されるグループが、優先交渉権者に決定した。

ビル2棟と体育館・広場で医療や地域交流の拠点に

那の津通り側外観(©︎2019(株)桜十字)

 同グループによる提案では、事業の基本方針を「地域を支える場所、再び。-Re すのこ-」とし、病院棟と高齢者施設棟の2棟のビルのほか、体育館棟や広場などからなる複合施設となる計画となっている。

 病院棟(11階建、延床面積約1万3,500m2)は桜十字が所有。桜十字グループとしてこれまで病院運営のなかで培ってきたノウハウを生かし、2~8階部分が回復期リハビリテーション・慢性期病院およびデイケア施設となるほか、9~11階部分は介護型有料老人ホーム(105室)となる。また、那の津通りに面した1階部分には、カフェも入居する。

 一方のJR九州が所有する高齢者施設棟(13階建、延床面積約1万2,700m2)では、1~13階部分が自立型有料老人ホーム(189室)となるほか、1~2階部分にドラッグストアを始めとしたテナントが入居。また、1階部分の一角には、通常時は地域の交流拠点となるほか、災害時の拠点としての活用も見込まれる地域交流センター「すのこハウス」(約140m2)も設けられる。なお、導入される自立型有料老人ホームは、JR九州シニアライフサポートが手がけるシニアマンション「SJR」ブランドとなる公算が高い。

 必須機能として指定されていた約3,000m2の広場は、天然芝や防球ネット、照明などを整備し、地域行事などで利用されるほか、災害時の避難場所となる。そのほか、2階建ての体育館棟(延床面積約790m2)や、2棟のビルに挟まれたイベント広場やくつろぎ広場、ふれあい広場なども整備される。今後の計画では、19年11月の市との基本協定締結を経て、20年3月に事業契約を締結。事業期間は70年間で、開業は2024年1月を予定。大濠公園や舞鶴公園などの周辺エリアとも連携して、地域の魅力向上に寄与していくことが期待される。

【坂田 憲治】

【(株)桜十字 広報担当】
 地域と我々事業者、そして行政との共創のもとに、簀子小跡地活用方針を踏まえるのはもちろんのこと、「福岡100」(※)や「一人一花運動」などの福岡市の基本構想にも貢献できるようなプロジェクトにしていきたいと思います。そして本プロジェクトを通じて、この簀子地区で3つの価値である「つながる」「にぎわい」「安全安心」を実現していきたいと考えています。

※福岡100:人生100年時代の到来を見据えた、誰もが心身ともに健康で“自分らしく”暮らせる持続可能な社会の実現に向けて、産学官民の“オール福岡”で取り組むプロジェクト。

【住宅都市局 地域まちづくり推進部 跡地計画課】
 優先交渉権者が決定し、大濠公園や舞鶴公園などと近接する立地環境を生かしたまちづくりが進められていくこととなります。地域も利用できる広場や体育館を始め、医療・福祉施設が整備され、これらを生かした健康づくりやケア・テック・ベンチャーとの共同研究など市の施策との連携も提案されており、地域や福岡市の魅力向上への寄与を期待しています。

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