2024年03月29日( 金 )

中村哲さんの告別式 参列者に配布された最後の言葉

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 アフガニスタンで殺害された福岡市の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」現地代表の医師、中村哲さんの葬儀が12月11日午後1時、福岡市中央区の斎場で営まれた。用意された席をはるかに超える約1,100人が参列。アフガニスタンの支援活動に尽くした中村さんの冥福を祈った。

 1分間の黙とうの後、中村さんの活動をまとめた映像が約10分間流された。葬儀委員長でペシャワール会の村上優会長は追悼の辞で「先生は35年間、実りのある事業を完成させた。私たちの心のなかで生きる先生の意志を守り、事業継続に全力を挙げる」と誓った。そして、「中村哲という人が人生の横にいたことが私や多くの人々の人生の最大の幸いだったと思う」と感謝の言葉を述べた。

 中村さんの長男、健さんは親族を代表して「父の活動に賛同し、支援していただいているアフガニスタンや日本の皆さまには、どんなに感謝しても足りない。いつも家族を思ってくれている父だった。背中で見せてくれたことをいつも心に生きていきたい」とあいさつした。

 参列者には、ペシャワール会の会報最新号が配布された。発行日はくしくも中村さんが銃弾に倒れた12月4日。中村さんの最後の言葉が掲載されている。用水路の補強・改修工事の必要性、気候変動により、確実に干ばつが進行していることに触れながら、「アフガニスタンでは安全とはテロ対策のことばかりで、生活の安全が考慮されてきたとはいえない」と現状を述べている。最後に「来たる年も力を尽くしたい。良いクリスマスとお正月をお迎えください」と締めくくられている。

ペシャワール会の会報
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【東城 洋平】

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