2024年04月25日( 木 )

年末年始注目のスポーツイベント(2)―全国高等学校ラグビーフットボール大会―

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 今年も残すところ、あとわずか。年末年始の慌しいこの時期に、スポーツ界では「チャンピオンシップ大会」が繰り広げられる。そのなかでも、とくに注目されるスポーツイベントについて紹介していく。今回は、「第99回全国高等学校ラグビーフットボール大会」。

 同大会は通称「花園」と呼ばれ、今年は12月27日から年明けの1月7日まで大阪府の東大阪市花園ラグビー場などで開催される。

 大会には北海道から沖縄まで51校が出場する。前回優勝は、大阪桐蔭高校。準優勝は桐蔭学園(神奈川)で今大会には両校とも出場する。

 出場校のなかからシード校が選出されており、Aシードは3校【京都成章高、桐蔭学園高、御所実業高(奈良)】、Bシードは10校【国学院栃木高、大阪桐蔭高、流通経済大柏高(千葉)、常翔学園高(大阪)、東京高校、東海大学付属大阪仰星高、日本航空高石川、東福岡高、中部大学春日丘高、佐賀工業高】。

 シード校については、『試合内容の充実、出場校同士の格差による安全性の重視』が示されている。シード決定基準は、前回の「花園」以降の各都道府県の大会、地方大会(新人戦、総体)、国民体育大会などの成績で選考される。

 シード校の登場は12月30日の2回戦からとなる。なお、ノーシード校の最高成績は第50回大会の天理高(奈良)と第73回大会の東農大二高(群馬)の準優勝で、優勝はない。しかし、このシード校については、批判覚悟で述べるとアテにならない。

 ラグビーは番狂わせが少ない競技であることはたしかだが、Aシード校が初戦で敗退した例は、過去に何度もある。優勝の有力候補であることはたしかだが、勝負事なので何が起こるかわからない。

 今年、日本中にラグビーブームを巻き起こしたラグビーワールドカップにおける日本代表の大躍進。大会前は、ほとんどのメディアから取り上げられることがない、いわゆる「ノーシード」だった。しかし、アイルランド代表、スコットランド代表に勝利するなど、プール戦4戦全勝で、日本代表初のベスト8に進出した。地元開催という優位性があったものの、ワールドクラスでも戦前の予想を覆す結果になることがある。前例がないというのは何ら参考にならない。ノーシード校から優勝することも十分にある大会である。

 地元福岡代表の東福岡はBシードだが、優勝する実力を備えている。県予選は、初戦140-7、準々決勝95-0、準決勝73-0、決勝61-0で、わずか失トライ1という圧倒的な勝利を重ねての20年連続30回目の出場を決めた。

 実際に東福岡の試合を見たが、対戦校に失礼だが『大人と赤子』のレベルだった。どの試合も90%以上ボール・テリトリーとも支配した試合運びだった。そのような試合展開だったので、「花園」では3回戦以降の実力校との対戦において、それまでのディフェンスの経験値が少ないことがやや懸念事項である。それでも、百戦錬磨の東福岡は各選手が自律したトレーニングを行うため、大会に照準を合わせて仕上げてくることは明確である。2016年(平成28年)以来の優勝に期待が寄せられる。

 九州地方では、ノーシードながら長崎北陽台高がダークホースである。「青い旋風」として強豪校と堂々と渡り合う、少数精鋭の県立高校の試合巧者ぶりは、東福岡と互角に戦える存在といえる。

 宮崎県代表の高鍋高は、伝統の突き刺さるようなタックルを駆使したチームディフェンスを遂行できれば、3回戦つまり正月を花園で迎えられるチャンスは十分にある。ぜひとも高校ラグビーの熱い戦いに目を向けていただきたい。

【河原 清明】

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