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2020年01月21日 15:00

高まる労災の訴訟リスク 問われる企業の健康管理(前)

(株)メディカル・ヘルス

 電通の過労死事件の報道以来、企業の健康管理が注目されるようになった。多くの大手・中堅企業は、過労などの労働災害の訴訟リスクを抱えることに敏感になってきている。働く人の健康管理を行い、さらに生活習慣病を抱えている人の重症化を防ぐためには、健康診断を通してどのように対策することが必要なのだろうか。

急死時に問われる企業の健康管理

(株)メディカル・ヘルス 代表取締役 松村 鷹仁 氏
(株)メディカル・ヘルス 代表取締役
松村 鷹仁 氏

 「時代の流れもあって、企業経営者の健康経営への関心は高まっている」と、企業の健康管理業務や健康診断手配を行う(株)メディカル・ヘルス代表取締役の松村鷹仁氏は話す。松村氏が会社を設立した40年ほど前は、健康管理は従業員本人の責任と考えられていたため、病気を予防するための健康診断を進んで行う企業はあまり多くはなかった。電通の過労死事件の報道以来、過労などの企業現場での健康管理をメディアが取り上げることも多い。そのため労働災害の訴訟リスクを抱えることに、多くの大手・中堅企業の上層部が敏感になってきているという。

 メディカル・ヘルスが健康診断手配を行っているなかで、従業員が急死したときには、当事者の健康診断を人事部が適切に行っていたか、確認をするという事例もあった。企業の健康管理が問われる事例があるためだ。急死した従業員の遺族が「無理やり働かせたのではないか」と健康診断の結果を企業に問い合わせた。そして人事部が当事者の健康診断書を確認すると、精密検査が必要という結果が出ていることがわかった。しかし健診結果をロッカーに入れたままにしていて、本人は精密検査を受けるため病院に行っていなかった。

 「健康診断を受けてもらうだけでなく、健診結果を確認して従業員の健康を管理していなければ、企業も責任を追及される時代だ。健康診断をすることは、企業にとって保険をかけることと同じ。健診結果を生かして企業で健康相談や健康指導を行うことで、生活習慣病など多くの病気の重症化を防ぐことができる」と松村氏はいう。従業員が急死するなど何か問題が起こった時には遺族と訴訟になった事例もあるが、企業側が健康管理をしっかり行っていなければ、労働災害として認定されない可能性もあるという。

 実際には、「精密検査が必要」という結果が出ても、2次健診を受けずにそのままにしていて、本人が気づかないうちに病気が悪化してしまう人も多いという。「健康診断は病気が重くなるのを防ぐためのもの。健康診断を受けても、企業の現場が具体的に対策に動かなければ、健康診断の結果を十分に生かして働く人の健康を保つことはできていない」と松村氏は話す。

 要精密検査と判定されても治療を受けない人は、毎年同じ人が多い傾向がある。たとえば糖尿病は自覚症状がないため、病院に行くことや今までの食事や生活習慣を変えることへのハードルが高くなりがちだ。健診結果の対応についての案内を1人ひとりに送るなど企業が積極的に対策しなければ、「要管理」と出ている人に2次健診や保健指導、治療を受けてもらうよう改善するのは限度があるという。

(つづく)
【石井 ゆかり】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:松村 鷹仁
所在地:東京都千代田区九段南4-7-19くじらビル4F
設 立:1984年9月
資本金:1,100万円
売上高:(19/2)4億6,000万円

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