2024年04月20日( 土 )

「心の健康」気にしてますか?(後)

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(株)ホリスティックハーブ研究所

自立できる術を身に付けてもらう

 精神障がいの方のなかにはDVがらみやリストカットなどの自傷行為など深刻なケースもありますが、最近急増しているのは不安障害や気分障害など、治療以前に心のケアを必要とする方です。とくに年齢的には若い人が非常に増えています。

 会社勤めの大人は病気が治れば社会復帰できますが、社会を知らない若い子たちは行き場がなく引きこもりになってしまう場合もあります。ですから訪問看護をしながら少しずつショートケアに来られるように、寄り添いながら見守っていくしかないのです。

 欧米ではWRAP(ラップ)と呼ばれる、自分自身を見つめるトレーニング方法があります。わかりやすくいえば企業で行うワークショップのようなもので、たとえば具合が悪くなるスイッチが入ったらどう対処すれば良いのか、気分を乱すような状況に気づいたら、いかにしてリカバリーするのか。こうしたことを一緒に考えながらサポートしていく。あるいは生活パターンを正していく。これらを支援していくのがショートケアの役割なのです。

 国では、精神障がい者のための自立支援センターや就労支援施設などを推進していますが、こういう場所は若い人ほど行きたがりません。なぜかといえば、いまだに劣悪な職場環境が多いからです。都内でアルバイトする場合、時給は1,000円前後だと思いますが、作業所といわれる施設だと300円程です。しかも朝から晩までひたすら単純作業をやらされる。こんなところには行きたがらないですよ。だからいつまでたっても自立できない。それは作業所が「自立とは会社に勤めること」という前提に立っているからではないでしょうか?

 私たちのショートケア施設では、プロジェクト事業として簡単なアルバイトができるような活動を進めています。たとえば、ハーブティをブレンドして袋詰めし、活動支援をいただく方々へ定期的に届けたり、近況報告の会報誌やホームページを自分たちでつくったりすることで、自給500円以上は貰えるような活動を通じて社会復帰の前の自立サポートをします。

 体調の良い時、好きな時間に働けるように、少しずつ仕事に慣れていけば自信につながります。また今の時代は、会社に勤めなくても自宅でできる自立もあります。絵が好きな子だったらイラストレーターに進む道を、パソコンが得意な子だったらユーチュバーになる方法を一緒に考えてあげるとか、どんなかたちでもいいので、いろいろな可能性を見つけて自立して生きていける道もあるのだということを知ってほしいですね。

(了)
【吉村 敏】

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