2024年04月19日( 金 )

ビジネスを守る奥義は「商標拳」~特許庁の動画が話題

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 特許庁が1月21日に公開した商標権に関する特設サイトの動画が話題になっている。公開直後にSNSを通じて拡散され、広告分などを含めるとこれまでにおよそ23万回の動画再生回数を記録しているとのことだ。今回、このプロジェクトにかかわった特許庁の担当職員に話を聞いた。

きっかけは知財・特許に対する認識の温度差

 特許庁では2018年5月に「デザイン経営」宣言を公表し、自らがデザイン経営に取り組むため「デザイン経営プロジェクトチーム」を立ち上げました。このプロジェクトチームは、ユーザー視点に立ち、特許庁自ら行政サービスの改善のための取り組みを進めております。

 プロジェクトでは、主に中小企業へのヒアリングを基に行政サービス改善の検討などを進めておりました。その過程で、中小企業のなかでは、知財や特許に関する温度差の違いがあることがわかりました。たとえば、技術開発に携わっている製造業の企業は、日頃から知財や特許といった概念に触れる機会が多いこともあってか、特許や知財に関する意識が高いのですが、他方、サービス業をしている企業はその意識が低いことがわかりました。「知財や特許は重要だけど、相談相手もいないし知るきっかけも少ない」のが理由だそうです。

 では、どうすればその重要度を届けられるか――我々の普段の生活で身近なところに着目したところ、「商標権」が思い浮かびました。

「商標権」はビジネスの基本

 商標権は企業にとって自社ビジネスのネーミングやロゴマークを守る大事な権利です。企業の場合、「事業者が使用するマーク」「使用する商品・サービス」がセットで登録されるのが一般的です。強みとして、商標権をもっていることが会社の対外的な信用やアピールにもつながりますし、業種によっては、商標権を取得しているかどうかが取引の良し悪しを決めることもあります。

 商標権は、いざという時に企業を守る役目をはたします。万が一商品の模倣品が出回ったり、「パクリ」が横行した場合においても、商標権を取得していれば、自社の権利を主張したうえで、相手側に対する警告やECサイトへの模倣品の削除依頼、場合によっては訴訟により、差止請求や損害賠償請求を行うことができます。

悪徳社長を「商標拳」で成敗!

 今回の動画やHP制作については、公募の結果、神奈川県鎌倉市を拠点にさまざまな事業の企画や制作を手がける(株)カヤックに依頼しました。2019年8月の業者決定以降、本格的に企画を練り上げ、演者の方もすべてカヤックの方で手配してくださいました。「商標制度」というお堅いイメージのある内容だったので出来栄えが気になるところでしたが、出来上がった動画を見て、こちらの意図をよく汲み取ってくださり、とてもいい動画に仕上がりました。

卑劣なパクリ行為も「商標拳」があれば憂いなし!?

 動画は、正規品会社の社長が、奥義「商標拳」によって悪徳社長を退治するという、カンフー映画仕立ての内容になっています。動画の随所では、商標権に関する重要な部分をユニークなデザインと文章でわかりやすく紹介しています。これまで商標制度に関して難しいイメージをもたれていた方や、普段商標権に馴染みのない中小企業の方にも目にとどまりやすく、気軽に見ていただける内容ではないでしょうか。

 「商標権はビジネスの基本」「商標権を知らずにビジネスをすることは経営上の大きなリスク」という我々のメッセージが、実際に中小企業の皆さまに伝わると嬉しいです。

▼関連リンク
・特許庁ホームページ
・面白法人カヤック

【長谷川 大輔】

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