2024年03月28日( 木 )

『第10回日本山岳遺産サミット』に参加して

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 「第10回日本山岳遺産サミット」が2月15日(土)、東京都千代田区一ツ橋にある一橋大学講堂で開催された。

 日本山岳遺産サミットとは、2019年度の日本山岳遺産認定地の活動発表、既認定地、関係者、登山愛好家、報道関係などが一同に会し、日本各地の山への思いを語る会。

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 日本山岳遺産は山の月刊誌「山と渓谷社」が創立80周年を記念して創設したもので、「豊かな自然環境」や「人間と自然の関わり」をもつ山岳エリアを「日本山岳遺産」として認定し、「山岳環境保全」「次世代育成」「安全登山啓発」活動を行っている団体に対して一定の助成金を拠出し、支援している。

 日本山岳遺産のことは、環境省福岡事務所のO氏に「池田さん、山の環境保全活動に対して、こんな助成金の募集をしていますよ」とパンフレットを手渡されて知った。そのパンフレットに目を通した私は、熟慮して応募することに決めた。

 「脊振の自然を愛する会」の規約、活動履歴、活動予算など、規定の項目を書き込み、早良区役所企画課に「推薦者になってほしい」とお願いした。

 企画課で精査し、区役所の公印を捺印後、締め切り月である昨年6月に応募書類を提出した。

 「脊振の自然を愛する会」はこれまで早良区役所と共働で道標設置、山開き、クリーンアップ登山、脊振山系写真展、脊振山サミットなどを行ってきた。

日本山岳遺産 認定書授与

 昨年11月6日、環境省から「令和元年度自然歩道関係功労者表彰」を受賞し、早良区役所で、区長列席の授与式が行われた。その翌々日には「日本山岳遺産」認定通知がメールで届いた、朗報続きだった。

 2019年度の認定地は全国5団体、脊振山系が全国で35番目の認定地に決まった。脊振山系の名が全国に知られるようになったのである。

 認定地5カ所は高田大岳(青森県)、五箇山(富山県)、伊吹山(滋賀県・岐阜県)、比叡山(滋賀県・京都府)、脊振山系(福岡県・佐賀県)である。

 2019年度日本山岳遺産認定地の関係者が、限られた7分間でプレゼンテーションを行った。

 「脊振の自然を愛する会」のプレゼンテーションの冒頭は会員のKがつくったものである。Googleアースの日本地図からズームイン、脊振山系の場所をフラッシュで表示するという印象深いもので、脊振山系の特徴、自然の素晴らしさ、一連の活動、そして助成金の使用目的を発表した。

 登山者が怪我や体調不良で助けを必要としたとき、役に立つのがレスキューポイントの表示板。我々はすでに設置している道標の支柱に、そのレスキュー表示板を取り付ける計画をたてており、設置にあたり、脊振の自然を愛する会、福岡市早良区役所、福岡市消防局、ドコモ九州と協議している旨を伝えた。

 サミット最後の特別公演では、北海道大学の愛甲哲也氏が「登山道の荒廃に登山者は何ができるか」をテーマに講演した。私は「山のトイレ事情」にとくに興味をひかれた。ちなみに過去の特別講演では、故・田部井淳子さん、三浦雄一郎さんなどの有名人も講演している。

 日本山岳遺産認定地で活躍するボランティア団体には高齢者が多いが、高校生や若い人たちもいて自然環境保全、登山教室、高山植物保護、山でのトイレ設置などに汗を流して多様な活動をしている。

 また、九州ですでに認定され、助成金で避難小屋をつくり上げた「嘉穂アルプス」の関係者も自費で参加しており、九州の仲間として交流を深めた。

 会場には東京在住のワンゲルの同期や後輩、大学時代の先生も駆けつけ、私の発表を熱心に聞いてくれた。

 サミットが終わり、東京駅近くで、ワンゲル仲間7人と懇親会を催し、楽しいひと時を過ごすことができた。50年ぶりに再会した後輩もいたが、学生時代に汗を流した仲間だけに、すぐにうちとけることができた。

3月に入るといよいよ「レスキューポイント製作」が始まる。

2020年2月20日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行
日本山岳遺産認定書

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