地方観光のハブとなる「道の駅」 積水がマリオットとホテル開発(前)
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積水ハウス(株)
積水ハウス(株)は、マリオット・インターナショナルや地方自治体と提携し、道の駅に隣接するホテル「フェアフィールド・バイ・マリオット」を建設している。2020年秋以降に栃木、岐阜、京都など6府県15施設をオープンし、21年以降に福岡、鹿児島など、22年以降に熊本などで開業を予定している。「TripBase(トリップベース)道の駅プロジェクト」の目的と今後の展望を、同社開発事業部トリップベース事業推進室長・栗崎修一氏に聞いた。
15施設が10月以降順次開業へ
道の駅を宿泊拠点にして、未知なる日本を旅する―地域の文化に触れ合い、土地の日常に溶けこむ旅で地方創生や地方活性化の一助となることを目指す積水ハウス(株)は、マリオット・インターナショナル(以下、マリオット)と提携し、ロードサイド型ホテルを建設する「Trip Base道の駅プロジェクト」を開始した。
年間売上が10億円を超えるといわれる栃木県茂木町の「道の駅もてぎ」など、道の駅はこれまでも地方の魅力発信の拠点となってきた。外国人旅行客が増加するなかで、地方自治体や地元企業の協力を得て、積水ハウスは道の駅を拠点に地方に旅行客を呼び込み、ホテル建設によって道の駅をハブにした地域をわたり歩くプランも企画。外国人も旅行しやすいインフラも検討している。
計画されている宿泊施設「フェアフィールド・バイ・マリオット」は、2020年秋以降をファーストステージとして、積水ハウスの地盤である西日本を中心に展開していく。まず、栃木や岐阜、三重、京都、和歌山、奈良の6府県15施設に合計約1,000室をオープンする予定だ。今年10月に開業予定のホテルは、6~7月の竣工に向けて建設中だ。
「フェアフィールド・バイ・マリオット」は、これまで世界で960軒以上の実績があるロードサイド型のホテル。今回日本で初オープンするホテルでは、地元の食材を買ってオープンスペースで調理やバーベキューするなど、食事は道の駅や周辺施設で賄う。さらに、道の駅周辺にある地方自治体の観光・企業誘致の部署や観光協会と連携し、観光アクティビティやおすすめの飲食店などの情報発信も行っていく。
「Trip Base道の駅プロジェクト」は、積水ハウスがプロジェクトマネジメントを担当し、みずほフィナンシャルグループなどの金融機関、ファンドなど11団体が出資する特別目的会社の(同)ニューツーリズム・トリップベース1号がホテル開発の事業主となる。ホテル運営はマリオットに委託。積水ハウスとマリオットは、国内外で共同開発したラグジュアリーホテルはあるが、国内の地方に注目したこのような宿泊施設は、今回のプロジェクトが初となる。
道の駅のポテンシャル
全国には1,160カ所を超える道の駅がある。国土交通省や全国の道の駅連絡協議会と協力するなかで、これまで「休憩・通過」地点だった道の駅の次のステージとして見えてきたのは「地域のハブ」だった。
たとえば、自然災害からの避難場所、支援の防災拠点として、道の駅の駐車場を活用するとともに、宿泊施設をつくることで、災害時にも活用できると積水ハウスは見込んでいる。さらに、地方自治体としてもリニューアルや再編を検討するなかで、これまでになかった機能を道の駅に追加したいという意図がある。「すでに道の駅がある自治体だけでなく、道の駅の新設計画がある自治体からも、誘致の相談を受けている」(積水ハウス)という。
ホテル運営における雇用については、地元採用も検討するほか、マリオットのチェーンオペレーションを生かして、都市部からのIターンやUターンも受け入れる方針だ。プロジェクトによる雇用創出を歓迎する自治体も多いが、地域の人手不足が懸念される自治体では、マリオットグループの都市部の採用ネットワーク活用に期待しているようだ。
(つづく)
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