2024年03月29日( 金 )

「思いやり」の心をもって市政に取り組む~福岡市議会議員・稲員稔夫氏

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 2019年4月に行われた統一地方選挙で福岡市中央区から選出され、中央区の最多得票数となる9,240票を獲得して当選をはたした福岡市議会議員・稲員稔夫氏。これまで稲員市議が取り組んできた市政に対する取り組みを振り返っていただいた。また、昨今のコロナウイルス感染拡大についても、現時点における地域の様子や議会の取り組みなどをうかがった。

 

子ども医療費助成制度の対象を中学生まで拡大

 平成29年(2017年)9月議会では、福岡市の子ども医療費助成制度について質問しました。これまで福岡市では、子ども医療費助成制度について、中学生の通院費に対する助成がありませんでした。しかし、難病などで入院から退院後の通院にかかる費用は高く、ほかにも子育てにまだまだ費用が多くかかるため、中学生までに通院費の助成を拡大するよう求めました。また、そのための財源となる県からの補助が、ほかの市だと1/2のところ、福岡市の場合は政令市であることを理由に1/4しか助成がなく、この格差の是正についても求めました。

 2019年12月、自民党福岡県議団に対し、県費補助の拡大の要望書を「自民党福岡市議団」で提出いたしました。これを受けて福岡県は、21年4月から子ども医療費助成制度の対象を中学生までに拡大し、県内すべての市町村において補助率を一律とする方針を表明しました。福岡市においても、21年4月から助成開始に向けたシステムの改修を進めます。

福岡市動物園にゾウやサイを導入

 平成30年(2018年)12月議会では、子どもたちが福岡市動物園にゾウやサイがいないことにがっかりしている姿を見かけたことから、「たとえ予算がかかったとしても、象やサイを導入してほしい」と強く訴えました。高島市長はこれに対し、「自分が先頭に立ってゾウやサイの導入に取り組む」と答弁。この結果、2019年にサイ2頭の導入が実現し、同年12月にゾウ4頭の導入が発表、2022年に導入されることが決定いたしました。

「成年後見制度」を充実~皆が安心して暮らせる世の中に

 令和元年(2019年)9月議会では、認知症や身寄りのない高齢者、障がいのある方などの財産を適正に管理する「成年後見制度」について、本人やその家族が安心して利用していただけるよう「成年後見センター」を設置することや、この先成年後見人が足りなくなることも予想されるなか、「市民後見人」の養成に力を入れていただくよう求めました。

「平和に関する学習」を通じて先人への感謝の心を育む

 世界ではテロや紛争などの争いが絶えず、我が国においても竹島、尖閣諸島、北朝鮮の核開発や弾道ミサイル発射実験、北方領土問題など、争いごとがいつ起きるかわからない状況のなか、日本の平和をどう守り維持するのか、また、世界の平和にどう貢献しなければならないのかをしっかりと考えねばなりません。

 このことについても、戦争体験者が高齢化するなかで、先の戦争の体験談をこれから先もこどもたちに語り継ぐために、体験者の方の話をDVDなどに収録し、学校の行事に活用していくよう求めました。我が国と郷土を愛する心、先の大戦で亡くなられた方々を忘れることなく、先人への感謝の心を育むことが家族愛へつながり、しいては平和の尊さを実感することにつながると考えています。

ユニバーサルデザインを教育現場や公共施設でもっと

 令和元年(2019年)12月議会では、「UDフォント」を教育現場にて使用することの重要性を訴えました。教科書や教育現場で使用する文字は、フォントによっては読み書き障がい(いわゆる「ディスクレシア」)のある子にとって文字の認識がしづらく、学力や学習意欲が低下するという問題があります。

 UDフォントを教育現場ですでに導入している他都市では実証実験をしており、UDフォントをテストなどに使用することで、ディスクレシアの子のみならず、それ以外の子も問題の正答率が高くなるという結果が出ています。福岡市の教育現場においても、すべての子どもの学力向上、学習意欲の向上のため、UDフォントを学校現場において導入するよう求めました。

 また、天神地下街においても、車いす利用者やベニーカーを押している方、高齢者の方々は地上と地下の行き来にエレベーターが必要になることから、地下街においてエレベーターの設置場所がわかりやすくするための案内誘導の充実をするよう求めました。

セントラルパーク構想について~さらなる情報発信を求める

 2019年6月、福岡市のセントラルパーク基本計画が策定されました。1年間を通してさまざまな方に来園していただけるよう、福岡城跡、鴻臚館跡のスピード感をもった整備の推進、鴻臚館展示館の来園者増に向けた取り組みの強化、「福岡城さくらまつり」以外の「藤まつり」「梅まつり」などのイベントのさらなる情報発信を求めました。

 また、総合案内施設においては、福岡市を回遊してもらえるような情報発信の取り組み、近隣住民などコンサートや室内イベントができるような多目的空間にするよう求めました。また、その際の駐車場の出入りに対する渋滞対策をしっかりするよう求めております。

新型コロナウイルス対策について~地域の現場から

 福岡市は2月20日から当面1カ月間、市が主催するイベント・行事に関して、原則中止もしくは延期としております。2月27日には安倍総理が「全国すべての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、来週3月2日から春休みまで臨時休校を行うよう」要請しました。これを受けて福岡市も、3月2日から市内の小中学校を休校する措置を取りました。

 私が選出された中央区では、2月20日以降予定していた地域行事のほとんどを中止せざるを得ませんでした。さらには学校が臨時休校になったことでグラウンドも閉鎖されてしまい、地域活動をさらに自粛せざるを得なくなりました。明確な判断基準や対応方法がないなかでこの判断は止むを得ないと考えていますが、休校中の各家庭への対応などで今後さらなる問題が出てくることが懸念されます。

 3月2日からの小学校休校にともなって、共働き世帯や1人親家庭世帯の方々のお子さまを預かる「留守家庭子ども会」においては、1つの部屋で大人数を預かるのではなく、学校の教室も利用し、また教員にも協力をいただき、こども未来局と教育委員会が連携して、コロナウイルス対策にも配慮をしながら、保護者の方ができるだけ安心して「留守家庭子ども会」を利用できるように努めております。しかし、今後休校にともなう授業日数の不足などをどう補うのかという問題もあります。これらの対応を今後しっかりとしていく必要性を感じております。

 福岡市議会は3月2日から25日にかけて、本会議と条例予算特別委員会を行う予定ですが、委員会の時間を短縮し、話し合う内容についての質疑を減らし、要点のみをまとめたかたちで開催することに決定いたしました。市民の地域活動を安全かつ優先的に行えるよう、各議員や市の職員の負担を減らし、市民の方に向けての対応を優先するのが目的です。「話し合うべき議案がきちんと話し合われないのではないか?」という批判があるかもしれませんが、「まずは市民の方に向けての対応を最優先するためのもの」とご理解いただければと思います。

 これからも地域・区民・市民の皆さまに寄り添い、しっかりと声を聞き、「思いやり」の心をもって、福岡市が皆さまにとって住んでいてよかったと誇りをもっていただける街にすべく努力してまいります。今後ともご指導賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

【聞き手、構成/長谷川 大輔】

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