2024年04月24日( 水 )

労働者に対する不当労働行為を認定~光通信の子会社に命令書

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 東京都労働委員会は3月4日、(労組)東京ユニオン(東京都渋谷区)が光通信の子会社に対し不当労働行為があったとして申立を行っていた事件について、組合側が主張した不当労働行為を認定。事業者に対し、不当労働行為であると認定されたことと、今後同様の行為を繰り返さないよう留意する旨を記した文書を組合側に交付するよう、命令書を交付した。

 命令書が交付されたのは、(株)光通信(東京都豊島区)の子会社で、事業者向けリースや融資、割賦販売などを手がける(株)ビジネスパートナー(東京都新宿区、以下「BP社」と記載)。

 申立の争点となったのは、2019年1月21日から23日にかけて行われた、BP社の代表取締役・片岡祐治氏と、常務取締役部長・佐藤至氏、グループ会社でサービサーのジャパントラスト債権回収(株)(東京都新宿区。以下「JT社」と記載)の社員・A氏との3者間で行われた面談の内容が、労働組合の運営に対する「支配介入に当たるか否か」について。

 A氏は2015年7月1日にBP社に入社後、ライフティに取締役部長として出向していたが、18年6月11日に出向解除と役員解任、さらには部長職から一般職へ降格することが伝えられていた。同年7月18日、不安を伴う適応障害との診断を受け休職。12月に復職後、JT社に一般職として出向していた。

 都の職員によると、2019年1月21日にBP社内でA氏とBP社との面談が実施され、その際応対した佐藤氏がA氏に対し、片岡氏への謝罪と、BP社の子会社であるライフティ(株)(東京都中央区)がA氏に対して提起した損害賠償請求訴訟について和解の必要性を説明。

 「ユニオンを立てた時点で、“もうこいつは…”という風にあなたは思われている。あなたが上の経営者だったらどう思う?」「感情が高ぶって“あいつは”みたいに思われているところに輪をかけたのが、第三者(組合)を入れたということだと思う。私はその組合も悪いと思う」などと述べたという。

 翌22日には片岡氏を交えて面談が実施されたが、片岡氏はA氏に対し、「(組合に)色んな相談に乗ってもらったという義理もあるかもしれないが、それも含めて結局何の得があったのか」「組合からしてみればお金にはならないから重荷だと思う」「ユニオンに頼むというのは“半分嫌がらせみたいなもの”ではないか」などと述べたという。

 これらの発言が組合の運営に対する支配介入に当たるか否か合議された結果、1月21日の佐藤氏の発言については、「組合加入や組合を介した交渉がA氏に悪影響をおよぼすことを示唆し、暗に組合からの脱退を迫っているもので、組合の弱体化を図る支配介入行為に当たる」と判断。1月22日の片岡氏の発言については、「組合に頼んで話を進めたA氏の対応を“半分嫌がらせみたいなもの”と非難し、暗に組合からの脱退を迫るもの。これは組合の弱体化を図る支配介入行為に当たる」と判断された。

 なお、1月23日に行われた面談内容については、「組合が主張するような内容の発言をしたと認定する証拠はないことから、支配介入に該当する行為があったとは認められない」とされ、JT社については、「面談での発言の対象がA氏とライフティとの訴訟に関するものであり、JT社による支配介入とはいえない」とした。

 A氏が加入している東京ユニオンの職員は取材に対し、「こちらの主張が概ね認められた」とコメント。A氏とライフティとの訴訟の件については「A氏が休職中にライフティから訴訟が提起されたと聞いている。決算処理に関するやり取りについて、その報告があったかなかったかで双方の主張が食い違っているようだ」と話した。

 BP社は取材に対し、「本件について何も申し上げることはない」とコメント。事実かどうかについても同様に答えた。

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