地域包括ケアシステムの一端担う連携拠点・北九州総合病院(前)
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社会医療法人北九州病院 北九州総合病院
院長 永田 直幹 氏患者のための医療実現に向けて
――北九州病院グループでは11の施設運営を手がけられていますが、それぞれの施設の役割についてまずはお聞かせください。
永田 社会医療法人北九州病院は、「急性期医療」「慢性期医療」を柱として、9つの病院、1つの介護老人保健施設、1つの介護付有料老人ホームを運営する西日本有数の医療法人です。各病院では特徴のある医療を展開しており、患者さんに合った治療を実践し、さらにグループ各施設間での連携強化に努め、救急から在宅に至るまで万全の体制で患者さんをサポートしています。北九州安部山公園病院や北九州小倉病院を始めとする各病院の役割を端的にいえば「療養型病院」であり、急性期病院から患者さんを受け入れ、療養を支援する病院です。医師の判断により、患者さんを急性期病院からすぐに自宅へ帰すことができない場合に、療養型病院へ転院していただき、リハビリや長期的な治療を行います。
当グループが目指しているのは、患者さんの状態が刻々と変わる「急性期」、リハビリで治癒を目指す「回復期」、長期的な治療と向き合う「慢性期」、これらすべての患者さんを自宅に帰れるようにすることです。これは、地域医療構想の実現に向けた取り組みの1つでもあります。また、地域や企業で働いている皆さんの健康づくりと病気予防のために、一般健康診断や生活習慣病健診、人間ドックも実施しています。
――患者さんは、どのようなかたちで来院されることが多いのでしょうか。
永田 開業医の先生からの紹介が45%、救急車での搬送が35~40%(年間約6,000台を受け入れ、このうち重症患者は10%程度)で、残りは患者さん自らが来院されるかたちです。救急車で運ばれて来られた患者さんにも対応できるのが、救命救急センターを併設している北九州総合病院の強みといえます。
――北九州総合病院は、2016年5月に小倉南区湯川から現在の小倉北区城野へと移転しました。移転先として城野地区を選定された理由は、何でしょうか。
永田 移転先として城野地区を選定した理由については、北九州市が取り組んできた「城野ゼロ・カーボン先進街区形成事業(※1)」も関係しています。陸上自衛隊城野分屯地の跡地に新たなまちをつくるにあたって、市が掲げた「住みやすい街、誰もが暮らしたい街」には病院が必要とのことでした。当病院も老朽化の影響で耐震性向上や免震構造の導入が不可欠でしたので、建て替えるのであれば城野地区へ移転しようと決め、その公募に手を挙げたかたちです。立地的に、城野地区が北九州の中心に位置する好立地だった点も理由の1つです。
――北九州総合病院の施設概要についてお聞かせください。
永田 北九州総合病院は救急指定病院・災害拠点病院ですので、72時間は上下水道・ガス・電気をすべて自前で供給可能なシステムを導入しています。この72時間(3日間)というのは、東日本大震災の際、災害拠点病院が3日間機能せず、医療行為を行うことができなかったことに起因します。当院は南海トラフ地震も想定し、陸上自衛隊小倉駐屯地(小倉南区北方)との連携が取りやすい位置を取っています。災害時にフル稼働できるような体制を構築しておこうという考えが根底にあります。
また、当院では余剰電力を業者に買い取ってもらうことで、CO₂削減にも貢献できるようにしています。病床数は360床で、ICUやSCUなどを除く318床が一般病床です。当院最大の特徴でもありますが、その大半が無料個室となっています。患者さんのなかには、自分の空間を大切にされる方も多くいらっしゃいますので、そういった方々に配慮し、快適さを提供できればという思いです。スタッフの数は、北九州総合病院だけで900名弱、北九州病院グループ全体では5,000名以上で、日々患者さんのケアに努めています。
(つづく)
【代 源太朗】
※1:JR城野駅北側の未利用国有地やUR城野団地を中心とする城野地区(約19ha)において、エコ住宅や創エネ・省エネ設備の設置誘導、エネルギーマネジメントによるエネルギー利用の最適化、公共交通の利用促進など、さまざまな低炭素技術や方策を総合的に取り入れて、ゼロ・カーボンを目指した先進の住宅街区。^
Information
院 長:永田 直幹
所在地:北九州市小倉北区東城野町1-1
TEL:093-921-0560
URL:https://www.kitakyu-hp.or.jp/contents/kitahos_sogo.htm月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
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