2024年04月20日( 土 )

「コロナにも暴風にも負けない」~自然災害の住宅防水対策として注目を集める「OSORAリビング」(4)

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(株)栄住産業

 近年、地震や台風、豪雨など自然災害が増加し、防災意識が高まるなか、住宅のレジリエンス性(強靭性)がクローズアップされている。とくに屋根の防水技術に定評のある企業として注目されるのが、福岡に本社を構える(株)栄住産業である。1976年に鹿児島で創業以来、金属防水工法の販売を手がけ、2003年に木造用住宅の金属防水加工技術「スカイプロナード」を開発。この技術を使い、屋上を幅広く活用する「OSORAリビング」を提供している。「スカイプロムナード」は3月17日、災害に強い住宅・まちづくりに貢献する建材として高く評価され、「第6回ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)で最優秀賞を受賞した。「コロナにも暴風にも負けない」同社についての分析をお届けする。

再評価されるべき戸建屋上スペース

 近年、日本では地震、台風、集中豪雨などさまざまな災害に見舞われ、防災に対する意識が高まってきている。そのたびに、住宅環境は「不測の事態」への対応から、「予測できる防災対策」をいかに実施するかを考慮し実践し続けてきた。昨今の災害状況を踏まえ、住宅購入する消費者の多くは、防災意識を高く持つようになり、またハウスメーカー、工務店もレジリエンス性の高さをアピールするようになっている。

 きっかけは、宇都氏の願いから始まった木造住宅の「戸建屋上スペース」の採用。長年、信念を曲げずに貫き通してきた同社だが、その特徴からスカイプロムナードにレジリエンス性の高さが注目を浴びている。普段は、屋上やバルコニーの自然を体全体で感じることができる開放的な空間。家庭菜園やベランピングなど、生き物や植物と触れ合う心の癒し空間として利用。台風時には、屋根の飛散などの心配がなくなり、洪水などによる浸水被害が起きた場合に避難場所として活用。地震時には、屋根総重量が軽いことにより、建物重心が低くなり揺れを最小限に抑え、住宅倒壊を軽減する。

 先の台風による浸水被害の際には、自宅の屋根に必死にしがみつきながら救助を待つ被災者の姿があった。一方で、高齢者や幼児、障がい者になると避難所へ避難することもできないのだ。自治体からは垂直避難(垂直方向・上方向の高い場所へ避難すること)が、連日呼びかけられていたが、いわゆる「三角屋根」では困難だ。

 また、エアコンの室外機や蓄電池を屋上に設置することも可能。これらの機器を安全な高い場所に設置することで、機器の浸水や漏電の危険性を激減させることができる。

 同社によると、住宅受注をうける工務店からは「年間10棟前後の受注が、OSORAリビングの採用で年間100棟を超える受注となった」との声が挙がっているとして、都心部への事業展開にたしかな手ごたえを感じている。

 同社は今後も関東エリア、関西エリアの都心部を中心に力を入れるとしている。土地価格が高く、敷地面積を十分に確保できない都心部は、庭スペースを断念しがちだ。雨風をしのぎ、直射日光からも家族を守ってくれる屋根に、新たな空間=土地としての価値が見出せば固定資産税がかからない不動産価値に値する。

 レジリエンスとは強靭性であり、平時(平常時)は有効に使え、有事(災害時)の際にさらなる機能を発揮することを求められている。金属防水工法スカイプロムナードは、「強さとしなやかさ」を持つ唯一無二のものであり、OSORAリビングはそれまでの利用性に加え、新たに防災性の高さが再評価されるべきである。

(了)

【麓 由哉】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:代表取締役会長  宇都正行
    取締役社長  宇都和光
所在地:福岡市東区原田-5-6
設 立:1976年2月
資本金:9,800万円
売上高:47億4,831万円(19/3期)

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