2024年04月20日( 土 )

リニア開業に向けた「This is NAGOYA」な駅づくりとは?(中)

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 2027年のリニア中央新幹線(以下、リニア)開業に向け、名古屋駅周辺で新たなまちづくりが進行している。名古屋市は14年に「名古屋駅周辺まちづくり構想」を策定。東西駅前広場の再整備、都市高速出入口のフルIC化などに取り組んでいる。名古屋駅に乗り入れる名古屋鉄道(株)(以下、名鉄)も、17年3月に「名古屋駅地区再開発全体計画」を策定。駅沿いに立地する6つのビルを取り壊し、長さ400m、高さ160~180mとされる複合ビルの建設を進めている。リニア開業によって、名古屋に何がもたらされるか。名古屋駅周辺はどう生まれ変わろうとしているのか。

地下30mにリニア駅

 JR東海は現在、市内でリニア中央新幹線名古屋駅、名城非常口、変電施設の工事を進めている。名城非常口の工事では、直径40mの立坑を90mほど掘る。その立坑から、シールドマシンを入れて、線路トンネルを掘り進めていく。

 リニアは、既存の東海道新幹線に対してちょうど直角に交わるような線形で名駅に接続される。品川~名古屋間の市内の延長は約8kmで、すべて地下を通る。名駅~堀川は、区分地上権を設定するが、堀川から東は、大深度地下(地下40m以深、または支持地盤上面から10m以深)を利用して整備する。約1kmあるリニアの駅舎も、名駅地下に開削工法で建設される。名駅周辺は東西それぞれ約300mにわたって用地を取得する。30mほど開削し、駅舎を建設した後、埋め戻す。

 リニアの用地取得の進捗は、20年2月末時点で駅西側が8割以上、東側が7割以上となっている(契約件数ベース)。用地取得は、JR東海のほか、(公財)名古屋まちづくり公社が担当する。

全長400mの複合ビル

 名鉄は、17年3月に「名古屋駅地区再開発全体計画」を公表。再開発の対象となるのは、名駅線路沿いの名鉄通と太閤通が交差する笹島交差点を中心に南北に伸びる約2.8haのエリアだ。このエリアに元々立地していた「名鉄ビル」「名古屋近鉄ビル」「名鉄バスターミナル」「大手町建物名駅前ビル」「名鉄レジャックビル」「日本生命笹島ビル」の6つのビルを取り壊し、全長400m、高さ160~180m(30階建)のビルに建て替える計画だ。

 この計画がユニークなのは、ビルが横に400mも伸びること。それに加え、ビルの中央付近でビルが太閤通をまたぐ構造を採用している点だ。通常、道路をまたぐビルの建設は許可が下りないが、都市再生特別措置法上の「都市再生特別地区」の指定と併せ、立体道路制度の活用を検討している。詳細は不明だが、テナントには、商業施設やオフィス、ホテル、住宅などを予定している。地権者らとの協議が進められており、22年度に工事着手する予定。ビルの開業時期は明らかにしていないが、当然27年のリニア開業が1つの目安になっている。

 途中道路をまたぐ珍しい形状のビル計画について、名鉄広報は「南北に長い敷地特性を活かし、まちに開かれ、まちと一体となって賑わいを創出することにより再開発エリアの価値最大化を図りたい 」としている。

 名鉄名古屋駅の4線化も実施する。名鉄名古屋駅は1日30万人が利用する同社最大の駅だが、上り下り2線しかない。乗降ホームを分け、電車の行き先などに応じて停車位置をずらし、利用者の分散化を図っているのが現状だが、ここ10年間で利用者が3万人ほど増加しているなか、抜本的な対策が必要になっていた。

名古屋駅駅前広場の再整備プラン(中間とりまとめ)/整備の基本的な考え方(名古屋市資料)

(つづく)

【大石 恭正】

(前)

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