2024年04月18日( 木 )

サブリース規制強化で再注目 オーナー主体の「空室補償」とは(後)

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(一社)全国賃貸経営補償機構 代表理事 藤咲  芳彦 氏

 サブリース契約以外でも、オーナーの賃貸住宅の経営をサポートするさまざまな手法が生まれている。全国の賃貸住宅のオーナーやビルダー、管理会社とネットワークを築く(一社)全国賃貸経営補償機構が取り組んでいる「空室補償制度」もその1つで、月々の掛け金を支払うことで、空室が出た場合の損害に備える共済の考え方だ。サブリース契約との違いについて、同機構の代表理事・藤咲芳彦氏に話を聞いた。

 ――空室補償制度、サブリースそれぞれのメリットとデメリットは何でしょう。

藤咲 芳彦 氏

 藤咲 サブリースでは、オーナーは通帳さえ確認していればそれでいい部分もあります。対して、空室補償制度の主体はあくまでオーナーなので、入居申し込みがあれば、その可否を判断するのはオーナーということになります。退去後の原状回復工事の判断も同様ですし、その手間が煩わしいのであれば、空室補償制度は向いていないのかもしれません。

 しかし、サブリースの場合、サブリース会社の権限が強く、その判断によってはオーナーが不利になる場合もあり得ます。そこで、もう少し賃貸経営を積極的に考えたいという方にとっては、空室補償制度を選ぶメリットもあるでしょう。大都市部は立地が良ければ入居率も高い傾向にあるので、契約者も東京と大阪が少なく、それ以外のエリアのオーナーから支持されています。福岡については、入居率が高く、補償がなくとも経営できるケースが多く、空室補償制度の需要はあまり高くないのが現状です。

サブリース規制の影響

 ――今年3月に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」、いわゆるサブリース規制が閣議決定されました。何か影響はありますか。

 藤咲 サブリースで最も多いトラブルは、借上げ家賃の変更、つまり保証家賃(賃料)の値下げです。オーナー側がそれを聞いていなかった、あるいは説明がなかった、などが問題点でした。今まではサブリース業者による勧誘・契約締結行為には規制もなく、自由でしたので、オーナーとサブリース会社間で多くのトラブルが発生し、社会問題になっていました。サブリース規制のような法律案が制定されたのも、当然の結果だと考えます。当機構はサブリース契約に該当しないため、直接的な影響はありませんが、トラブルを避けるためにも、オーナーと契約する際は、すでに重要事項についての読み上げを行っています。

 ただ、当機構から見ても、サブリース自体に罪はありません。問題は、オーナーにリスクが集中し、サブリース会社だけが儲かる構図なのです。私はこの法律に関しては、完璧だとは思っておらず、第一歩を踏み出したという認識です。これから、改正案が出てくることに期待しています。

(了)

【長井 雄一朗】

(前)

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