インバウンド失速&コロナショック 苦境に立たされる九州・福岡の観光(後)
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九州運輸局 観光部長 堀 信太朗 氏
昨年からのインバウンド客減少に加え、今まさに猛威を振るっている“コロナショック”によって、九州でも観光事業者は非常に厳しい状況に置かれています。九州運輸局観光部としては、九州管内の観光施策を所管する立場から、この難局を乗り切るための国の支援策などの情報は、逐次伝えていきたいと考えています。
一方、現在のコロナショックも、いつまでも続くものでもありません。そして収束した暁には、観光も急速に回復していく期待感をもっています。そうなると、日本全国各地の観光地で“呼び込み合戦”が始まり、競争が激しくなっていくでしょうから、そのときに九州の観光が先んじて動けるように、きちんと準備を進めておく必要があります。
九州各県には山や海などの美しい自然があり、豊富な温泉やおいしい食べ物など、観光資源に関しては国内の他地域と比べて、決して引けを取ることはありません。今後、観光のスタイルは変化していくことも考えられますが、それにも対応した“持続可能な観光”の在り方を模索していかなければなりません。インバウンドに関しても、これまで中韓に依存し過ぎていた部分を、リスク分散の意味でも他国から呼び込む施策を行い、減った分を補いつつパイを増やしていくことが重要です。必ず観光は回復していくと信じています。
福岡県観光局 観光振興課
県では、今年の開催が予定されていた東京オリンピックの事前キャンプの誘致などを進めてきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で事前キャンプが中止となり、練習施設や宿泊施設のキャンセルが発生しています。それ以外でもイベントや行事などの中止・延期が相次ぐなか、県が設置している中小企業経営相談窓口に寄せられた相談によると、宿泊業や飲食店などの事業者からの相談のうち、85%以上が資金繰りなどに関するものでした。こうした相談からも、宿泊や飲食などの観光産業に関わる事業者の経営が厳しさを増してきていることを認識しています。
今後の見通しについては、まずは新型コロナの収束時期を見極めたうえで、まずは本県への観光客の約8割を占める国内客の呼び戻しをしっかりとやっていきたいと思います。そして、そのうえでインバウンド観光客の回復にも努めていきます。
福岡市経済観光文化局 観光産業課
今回の新型コロナウイルスの影響について事業者にヒアリングしたところ、宿泊業や飲食業、サービス業などでは、観光客の減少や予約の延期・キャンセルなどにより売上が大きく減少し、市内の多くの企業が影響を受けています。
福岡市では、現在はまさに感染拡大防止に取り組んでいる局面ですが、国が行う緊急経済対策なども注視しながら、収束後は、九州の自治体などと連携して、国内の観光客が周遊観光するための、魅力ある観光ルートの形成や情報発信に取り組みたいと考えております。また、歴史、文化などの地域資源を活用し、市内の回遊性を高めるなど、地域の消費喚起につながる取り組みを、適切な時期に実施してまいります。
(了)
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