100年後も人が集い、憩う場所へ竈門神社に見る神社の在り方(前)
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宝満宮 竈門神社 権禰宜 馬場 宣行 氏
縁を結ぶ竈門神社
――最初に、竈門神社の歴史についてお教えください。
馬場宣行氏(以下、馬場) 663年、日本軍が白村江(はくそんこう)の戦いで大敗した後、現在の大宰府政庁の場所に、九州における政治・外交・防衛を司る機関が置かれました。その際、北東に位置する宝満山の山上に、鬼門封じとして八百万神(やおよろずのかみ)が祀られたのが始まりで、後に現在の主祭神である玉依姫命(たまよりひめのみこと)を祀る社殿が建立されました。山頂で祈りが捧げられてから、1350年を越える歴史を紡いでまいりました。かつては、八合目付近に中宮もあったのですが、廃仏毀釈によりなくなってしまいましたので、現存しているのは麓の下宮と、頂上の上宮のみとなっております。
――竈門神社にご参拝されるのは、主にどういった方々でしょうか。
馬場 鬼門封じとしての成り立ちもあり、元来“方除けの神さま”としての意味合いも強かったのですが、主祭神である玉依姫命が女性の神さまということ、「玉」と「依」という漢字に、「互いの魂が引かれ合う、寄せ合う」という意味があることから、今では縁結びの信仰を強くお持ちの方や、良縁を祈願される方が多い印象を受けます。
――太宰府天満宮には多くの外国人観光客が訪れていますが、竈門神社にも足を運ばれるのでしょうか。
馬場 太宰府天満宮ほどではありませんが、福岡や太宰府をより深く楽しみたいという方、とくに台湾の方に多くお越しいただいているようです。こうした背景もあり、日韓関係からインバウンド需要が落ち込んだ時期でも、竈門神社に関しては、ほとんど影響を受けませんでした。
――年間、どのくらいの方が参拝されるのでしょうか。
馬場 参拝者数は年々増えており、現在年間90万人ほどのご参拝をいただいています。祭祀の始まりから1350年の節目として、7年前に社務所と参集殿の建替えを行ったのが契機になったと考えております。竈門神社は、旧社格でいう官幣小社にあたる大変由緒あるお社でありながら、建物の経年劣化が顕著になり、宮司の「もう一度神社を元気にしたい」との思いから、社務所と参集殿を建て替えることになりました。
社務所の設計は神社建築家の種村強氏に、お札やお守りなどを授与(販売)させていただく授与所のデザインはインテリアデザイナーの片山正通氏((株)ワンダーウォール)に、それぞれ手がけていただきました。とくに力を入れた授与所のデザインを初めて目にしたときは、その斬新なアイデアに少し驚いた宮司も、常日ごろより「50年後、100年後を見据えた神社づくりを」をモットーとしておりますので、快くご提案を受け入れました。
神社という空間において、石づくりで曲線を描いた授与所というのは、かなり挑戦的なデザインだったと思いますが、50年、100年先を見据えると、これが神社のスタンダードになるのではないかと考えています。自動ドアから入っていくというのも、当時としては初の試みだったのではないでしょうか。賛否両論を覚悟しておりましたが、意外にも肯定的な意見が多く、竣工から7年経った今でも、美しく、境内でひときわ存在感を放っていると思います。
(つづく)
【代 源太朗】
<Information>
宮 司:西高辻 信良
所在地:福岡県太宰府市内内山883
TEL:092-922-4106
URL:https://kamadojinja.or.jp月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
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