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2020年05月05日 07:00

ずさんな管理体制と度重なる行政処分で問われる企業姿勢(前)

国土交通省関東地方整備局は2月6日、東急不動産ホールディングス・グループの一員で、マンション管理業を手がけるコミュニティワン(株)(東京都世田谷区、大熊剛代表)に対し、監督処分を行った。同社は2015年と2018年にも同様の理由で監督処分を受けており、今回で3回目の処分となる。

管理組合財産のずさんな管理が露呈

 関東地方整備局によると、同社が管理を受託している複数の管理組合で、同社の従業員と再委託先の従業員が、管理組合財産(修繕積立金など)を不正に着服していたことが判明。さらには、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)施行規則に、「マンションの区分所有者などから徴収した修繕積立金等を収納口座に預入した後、そこから当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を翌月末日までに保管口座に移し換え、預貯金として管理する」と定められているにもかかわらず、同社はこの口座に移し換える作業を行っていなかったことも明らかとなった。

 同社は取材に対し、「(今回の不正行為は)管理組合から提出された決算書を確認した際、実際の予算より多く計上されていたことから社内調査を行った」と説明。その結果、同社従業員と再委託先の従業員が、備品購入時に飲み物や日用品などの私物を合わせて購入していたことが判明したという。不正に加担していた従業員は合わせて11名、着服された金額はおよそ370万円にものぼるという。着服分については組合に全額弁済され、11名に対してはすでに処分が下されており、着服した金額については全員から弁済する旨の意思確認が取れているとしている。

度重なる不正の背景は

 同社は今回の不正が行われた背景として、「これまで他社からのリプレイスやM&Aなどにより管理物件を増やしてきたが、その際、元の管理会社の方法を踏襲して管理していた。結果として管理組合ごとに異なる管理方法が混在し、それぞれの管理体制の把握ができていなかったことが今回の事態を招いた」と説明。今後については、「これまでバラバラだった管理方法の統一化を図り、支店ごとに行われていた管理業務も本社で一括化する方向で動いている。管理業務については、監査法人を新たに設置したうえで会計処理マニュアルを作成し、それに沿って適正な会計処理を行っていく」としていた。

 これに対し、自らもマンション管理士の実務にも携わっている、黒いひつじマンション管理士事務所の代表・中村優介氏は、「処分はこれで3回目ですが、前回(2018年)から1年半余りで同様の不正が繰り返されており、企業として本当に不正を真摯に受け止めているのか、甚だ疑問でなりません」と話し、不正が繰り返される要因を次のように分析した。

混在する管理方法、改革機運高まりにくい風土

 同業他社との吸収合併、他の管理会社の管理物件を自社にリプレイスするなどして業容を拡大してきた同社。近年は東急グループに入り、2019年3月時点での管理棟数は4,063棟、管理戸数は185,119戸を数える。東急グループというブランドと、業界内でも「大手」と呼ばれる規模感は、他の管理会社と比べても遜色ない。

 しかし中村氏は同社が業績を拡大してきた背景に問題点を指摘する。「同社のコメントにもあるとおり、リプレイス時に何でもやりますと安請け合いした結果、支店によって会計処理の仕方や管理方法が異なる事態を招いていると思います。初めから、“うちの管理方法はこうです”としていれば、管理方法がバラバラになることはなかったと思います。管理方法が統一されていれば、保管口座への移し換えが漏れる等という初歩的なミスはなかったでしょう」

 東急グループ傘下に入ったことで、ブランド力が高まったとみる声もあるが、これについても中村氏は、「確かに本社のチェック機能が厳しくなったという声が現場社員からも聞かれましたので、傘下に入ることで良かった部分もあると思います。しかし気になるのは、東急グループの傘下に入って以降、役員等重要なポジションの顔触れが数年ごとに入れ替わっていること。これではせっかく本気で社内改革をしようという人がいたとしても、数年で入れ替わってしまうためそうした機運が高まりにくいのではないでしょうか。そうした土壌が醸成されていないことも、不正が繰り返されてしまっている要因の一つではないかと思います」と述べた。

(つづく)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:大熊 剛
所在地:東京都世田谷区用賀4-10-1世田谷ビジネススクエアタワー7階
設 立:1975年5月
資本金:285,675千円
売上高:(19/3)269億円

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