2024年03月29日( 金 )

防災協定対象に公園・緑地も追加 官民連携による災害復旧(中)

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公園復旧を迅速に――2団体と防災協定締結

 福岡市住宅都市局のみどり整備課は今年3月11日付で、福岡市内の2つの造園業界団体である(一社)福岡市造園業建設協会および(一社)福岡市緑化協会と、「公園・緑地の防災協定」を締結した。同協定は福岡市内に1,655カ所ある都市公園および緑地を対象としており、台風や浸水などの風水害によって被災もしくは被災の恐れがある場合に、市からの要請に基づいて防災活動を行うというもの。想定される主な作業内容は、公園内での倒木や崩土の撤去のほか、河川敷公園の体積土砂の撤去や清掃などとなっている。

 対象となる市内の都市公園および緑地1,655カ所のうち、1,600カ所以上は各区役所が管理する都市公園で、残りは特別緑地保全地区()となっている。区役所管理の都市公園は、それぞれの公園ごとに平時の公園内の草刈や剪定などを行う年間管理業者が決められており、災害時の復旧についても本来はこれらの業者の担当になる。だが、大規模な風水害などで被害が公園内の広範囲におよぶ場合、一事業者では復旧対応が追い付かず、災害後も長期間にわたって被災箇所がそのままになっているケースもあったという。これまで公園や緑地は、ほかの道路や上下水道などに比べると、住民生活に必要不可欠な公共インフラではなかったため、行政としても被災後の復旧の優先順位はそれほど高いものではなかった。だが、近年の自然災害の頻発によって、長期間にわたって公園が利用できない状況が続くことは、市民への利便性提供の観点からもよろしくないと判断。市内2つの造園業界団体からは、従前より災害時の協力申し入れがあったこともあり、双方の思惑が合致したことで、今回の協定締結に至った。なお、今回の防災協定は、市と福岡市造園業建設協会、福岡市緑化協会との間での三者協定となっている。

※特別緑地保全地区:都市の無秩序な拡大の防止に資する緑地や、都市の歴史的・文化的価値を有する緑地、生物多様性の確保に配慮したまちづくりのための動植物の生息地または生育地となる緑地などの保全を図ることを目的に、都市計画法第8条で規定される地域地区のこと。^

 ちなみに、指定管理制度によって管理されている市の直轄公園―「舞鶴公園」(中央区)や「東平尾公園」(博多区)、「アイランドシティ中央公園」(東区)、「小戸公園および生の松原海岸森林公園」(西区)、「友泉亭公園」(城南区)、「シーサイドももち海浜公園」(早良区)など10数カ所については、契約上それぞれの指定管理者が災害時の対応も行うことになっているため、今回の防災協定の対象には入っていない。

 災害時の指揮系統としては、まず市職員や民間業者などが協力して被災状況を把握した後に、市側が個々の公園管理業者が対応できるかを確認・判断。個々の業者での対応が難しい場合に、市側から協会に協力要請を行うことになる。その際、市から各協会の本部に連絡するのではなく、区ごとに設定された窓口を担当する代表企業に連絡を行い、代表企業が区内の状況を判断しながら、最適とされる各協会の会員企業に要請がいく仕組み。かつて学校などで使われていた連絡網のようなものと思ってもらえれば、わかりやすいかもしれない。運用初年度となる20年度については、福岡市造園業建設協会が「中央区」「南区」「東区」「城南区」の計4区を、福岡市緑化協会が「西区」「早良区」「博多区」の計3区を担当。今後、実際に運用を行いながら、担当する区の割り当てや配分、窓口担当の代表企業の見直しなどを毎年実施し、仕組み自体のブラッシュアップを図っていくという。

(つづく)

【坂田 憲治】


<INFORMATION>
(一社)福岡市造園建設業協会

会 長:古賀 正(古賀緑地建設(株))
所在地:福岡市中央区渡辺通5-24-30
設 立:1987年
会 員:39社

(一社)福岡市緑化協会
会 長:大橋 優((株)大橋造園土木)
所在地:福岡市早良区早良7-1-39
設 立:1994年
会 員:40社

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