2024年04月20日( 土 )

トラブル頻発で規制強化~岐路に立つ「サブリース」(後)

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(公財)日本賃貸住宅管理協会

 賃貸アパートなどのサブリース契約をめぐるトラブルが多発していることを受け、政府は今年3月に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」を閣議決定。サブリース業者による勧誘・契約締結行為の適正化、そして賃貸住宅管理業の登録制度の創設を目的とした法律案で、今通常国会での成立を目指すという――。

規制を前向きに

 そこで政府は今年3月、家賃保証などの契約条件の誤認を原因とするトラブル多発が社会問題となっていることを受け、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」を閣議決定した。

 昭和50年代から増え始めたサブリース契約は、オーナーの代替わりによって、息子や娘などの親族が初めて契約内容を知ったというケースも増加しつつある。
 法律が制定されることで、今後、国交省は省令やガイドラインを制定し、業者の勧誘、契約締結行為で、具体的に何が良くて何が法律に抵触するかを明記する。規制により、サブリース会社の逸脱したセールストークに、一定の歯止めがかかる効果があるとの見方もある。

 日管協は、「サブリース事業者協議会」を設置、サブリースのメリットとデメリットを周知するための勉強会を開催し、オーナーなどの啓発に努めてきた。日管協は本法律案について、実務に近い状態で会員に周知していく方針。サブリースへの取り組みについては、次のようにコメントした。

サブリース規制  日管協の取り組み

(公財)日本賃貸住宅管理協会

左より岡部 雅之 氏、青柳 人志 氏、鈴木 一男 氏

 協議会としては、契約の標準書式の整理による契約に関わるトラブル防止に努めていきたいと考えています。オーナー向けには、サブリース契約の注意点を周知するパンフレットの作成を行い、会員向けには、勉強会を実施しています。

 サブリース契約は、原状回復工事費の扱いも含めて、環境は管理会社に厳しくなり、競合も増えている今、かつてのように利益が取れない事例も増えています。「シェアハウス」という新業態を用いて利ざやを稼ごうとしていたのが、かぼちゃの馬車だったともいえます。しかし、かぼちゃの馬車は、サブリースを利用した詐欺的行為の側面が強いもので、世間からはサブリース契約の欠陥が噴出した事例と見られています。これらを踏まえたうえで、サブリース契約というものの本質を、引き続きオーナーに丁寧に説明することに努めていきます。

 まず伝えたいのは、販売会社の説明を鵜呑みにせず、契約内容をよく確認し、事業収支を見極めることの重要性です。オーナーが事業主の意識を強くもつべきという点に尽きるともいえます。しかし、それでもトラブル報告は増えており、何かしらの規制は必要だといえるでしょう。法律が制定されることにより、業界が浄化する期待もあります。法律案制定あたっては、協会は国交省と意見交換してきました。

 日管協としては、サブリースはサブリース会社とオーナーが対等な立場で行える理想的な賃貸経営であると捉えています。今回の規制を前向きに捉え、健全な賃貸住宅管理市場の形成に寄与できればと考えています。

(了)

(前)

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