2024年04月20日( 土 )

トラブル頻発で規制強化~岐路に立つ「サブリース」(前)

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(公財)日本賃貸住宅管理協会

 賃貸アパートなどのサブリース契約をめぐるトラブルが多発していることを受け、政府は今年3月に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」を閣議決定。サブリース業者による勧誘・契約締結行為の適正化、そして賃貸住宅管理業の登録制度の創設を目的とした法律案で、今通常国会での成立を目指すという――。

詐欺的行為で問題視

 サブリース契約はオーナーにとって、金融機関から物件取得の融資が受けやすくなるというメリットがある。直接の借主である管理会社から長期間の契約で一定の家賃収入が得られるため、入居者の有無にかかわらず賃貸経営が安定するためだ。経営をサブリース会社に丸投げすることで、知識がなくとも不動産賃貸業を行うことができる手軽さも魅力だ。

 しかし、周知のように、オーナーと販売会社およびサブリース会社との間でのトラブルが多いのも事実。たとえば、礼金や更新料などはサブリース会社が受け取ることになり、オーナーの収入にはならないことなどには留意しなければならない。

 オーナーから賃貸住宅事業の業界団体である(公財)日本賃貸住宅管理協会(以下、日管協)に寄せられる相談内容として、最も多いのが原状回復工事費用などをオーナーが負担するケース。サブリース会社が修繕し、相場に比べて高い料金を請求されるケースもあるという(サブリース会社を通じて工事し、中抜きが発生するため)。また、サブリース契約ならではのトラブルといえば、借上賃料の減額だろう。「30年一括借り上げ」を謳いながら、契約書のただし書きで、「2年ごとの見直し」条項が付記されており、契約時にオーナーが見落とす例が相次いている。

 サブリースに関わる最大のトラブルとしては、「かぼちゃの馬車」問題が記憶に新しい。かぼちゃの馬車とは、高利回りを謳うシェアハウスで、30年一括借り上げを謳っていたが、賃料減額やサブリース会社の計画的ともとれる破綻によって、返済資金に行き詰まった投資家の破産が相次いだ。この問題は世間的にも批判を集めた。これにより世論も一斉にサブリースを叩き、サブリース契約そのものに問題があるかのような報道も多かった。

(つづく)

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