2024年03月29日( 金 )

ナイトクラブ発の集団感染で再び感染が拡大(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 韓国は中国に隣接しているだけに、コロナウイルスの感染拡大も、比較的早かった。韓国では2月末から、コロナウイルスの感染拡大が急速に進み、韓国は一時、中国についで世界で2番目にコロナウイルスの患者数が多かった。しかし、その後、韓国政府が大量検査と追跡調査の徹底など、迅速な措置をとることによって、1日あたりの患者増加数を数名程度に抑えることに成功し、世界から絶賛を受けていた。その結果、「社会的距離措置」も徐々に解除し、日常生活を営みながら、そのなかで感染拡大を防ぐという方針転換を行っていた。

 韓国では、ひとまずコロナウイルスを克服し、正常に戻れるのではないかという期待感があった。ところが、油断のせいか、ソウルの梨泰院(イテンウォン)のナイトクラブで集団感染が発生し、感染が確認された人は153人となっている。

 韓国の累積患者数は1万1,018名。梨泰院での集団感染が発生したことで、1日の新規患者数が30名前後に跳ね上がっただけでなく、全国で2次、3次の感染拡大が確認されつつある。梨泰院は日本人にも馴染みが深いソウルの繁華街である。もともと米軍基地が近くにあったため、米軍を相手にするお店が多い地域で、日本人などもよく訪れる観光名所の1つでもあった。梨泰院はブランド品のイミテーションや革ジャン、それからナイトクラブなどが有名な場所。コロナウイルスの規制で蓄積されたストレスを発散させるため、今回多くの若者がそのナイトクラブに集まっていたようだ。

 梨泰院のナイトクラブが急に注目を集めるようになったのは、今月6日、ナイトクラブに行った龍仁(ヨンイン)の29才の男性が検査の結果、陽性と判定されてからだ。この男性は5月の1日と2日の連休中に、梨泰院のクラブと酒場などに立ち寄っていたことが明らかになった。

 梨泰院ナイトクラブ発の集団感染は、ナイトクラブに行って感染された患者から、患者の職場と家庭へと感染が広がっていった。さらに、カラオケなどが媒介となった3次感染も心配されている。

 今回、1次感染者は龍仁の66番患者で、この患者と同じ職場の人も感染した。また梨泰院のナイトクラブに行った学習塾講師の生徒、同僚講師、個人レッスンしていた生徒、生徒の両親などに感染したことも確認され、中高生9名と大人5名が感染したことがわかった。

 さらに、今回、接触もしていないのに、カラオケという空間を媒介にして感染した件もあり、韓国保険当局は神経を尖らせている。弘大(ホンデ)の飲み屋で発生した患者の場合、梨泰院のナイトクラブに行ってきた人が利用した同じカラオケの部屋を3分後に利用しただけで、感染したという。これ以外にも、同じカラオケを利用しただけの別の事例もある。

(つづく)

(後)

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