2024年03月29日( 金 )

ナイトクラブ発の集団感染で再び感染が拡大(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 今回のナイトクラブ発の感染で、韓国政府が気にしていることがいくつかある。まず、上記のように、接触によらない感染が発生したことだ。2つ目は、ナイトクラブを利用した人のなかには、どうしてもその事実を隠したい人が相当数いて、身分がばれることを恐れ、検査も受けず、それが感染拡大につながっている恐れがあるという点だ。3つ目は、ナイトクラブの利用者はほとんどが30代以下で、若い人の場合、コロナウイルスに感染しても、無症状か症状が軽微で、本人が自覚していない場合が多いので、より一層感染拡大の恐れがあるという点だ。

 韓国政府は今回の集団感染の対応で下手をすると、感染拡大が手に負えなくなることを心配して、総力を挙げて対応している。韓国の保健当局では、集団感染が疑われる人を対象にすでに3万5,000人を検査している。そのなかで153名が患者であることが明らかになった。さらに、ナイトクラブに行っていながら、まだ検査を受けていない人を割り出すため、梨泰院に取り付けられたCCTVの画像解析をはじめ、基地局を活用したその地域での通話履歴、クレジットカードの履歴などを使って、ナイトクラブに行った人を突き止めようとしている。

 感染の経路が把握できなくなると、コロナウイルスを抑えることができないので、韓国政府は必死になって2次感染の防止に努めている。韓国のように比較的防疫に成功しながら、規制を緩和したことで、再び患者が増えている国には、ドイツとシンガポールがある。

 ドイツはコロナウイルスへの対応で称賛されてきた。大規模なウイルス検査や効果的なロックダウンを実施し、その結果、ほかの欧州諸国に比べ、死者数をずっと少なく抑え込むことに成功しているからだ。コロナの勢いが少し衰えてきたので、ドイツをはじめヨーロッパ各国は、制限を段階的に緩和させていた。ところが、ドイツで再びコロナウイルスの感染拡大が進んでいる。

 シンガポールも強力な防疫体制を構築し、感染拡大の防止に成功したことで称賛を受けていた。ところが、シンガポールも最近、感染が急激に拡大し、最初とは正反対の評価を受けている。シンガポールはアジアのなかでコロナウイルスの感染がもっとも深刻な国の1つとなってしまった。主に外国人労働者の間で感染が拡大しており、シンガポールの人口580万人のうち、100万人以上が外国人労働者で占められている。この外国人労働者の宿舎で集団感染が起こっているのだ。

 最近のシンガポールの感染拡大は、このような外国人労働者と海外からの流入者が原因となっている。このように感染拡大に成功した国でも、封鎖や規制を緩和すると、再び感染が増えており、コロナウイルスの終息は難しく、長期化するのではないかと懸念されている。

 中国の経済活動による経済指標の改善、今後、ヨーロッパやベトナムなどで経済活動が再開されることにより、経済が回復するのではないかと期待して、株式市場では株価が上がっている。しかし、現時点でコロナウイルスがいつ終息するかを断言できる人はいないだろう。韓国政府の対応がどのような結果をもたらすのか、全世界が注目している。

(了)

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