2024年04月16日( 火 )

中国経済新聞に学ぶ~「新インフラ整備」に514兆円を投入

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 「新インフラ整備」が盛んになり、34兆元(約514兆円)の資金が動くことになった。
 最近、北京市や河北省など13省(直轄市)が2020年重点プロジェクト投資計画を相次いで発表し、投資総額は34兆元に迫り、「新インフラ整備」が「資金誘致の主役」になっている。「新インフラ整備」はどこが「新しいのか」?経済の回復に何をもたらすか?

「新インフラ整備」はどこが「新しいのか」?

 情報のデジタル化が「新インフラ整備」の最も本質的な特徴だ。
 従来のインフラ建設は、俗的に「鉄公基」と呼ばれる伝統的インフラ設備の建設であり、主に鉄道、道路、空港、港湾、水利施設などの建設プロジェクトを指していることが知られている。

 しかし「新インフラ整備」はこれとは違う。「新インフラ整備」はさまざまな先端の概念に関わっており、普通の人は聞いても何のことかよくわからないが、実は伝統的インフラ建設と異なるのは、デジタル化、スマート化などの科学技術をより重視するという点にある。

 「新インフラ整備」自体は新しい概念ではない。すでに2018年末、中央経済政策会議が「新インフラ」に言及している。その後、「次世代通信インフラ建設の強化」が19年の政府活動報告に組み込まれた。とりわけ20年以降は、中央政府が「新インフラ整備」を集中的に計画し、「新インフラ」はホットワードとなってしばしば取り上げられるようになった。4月20日、国家発展・改革委員会は新型インフラの範囲を初めて明確にした。主に情報のインフラ、融合のインフラ、イノベーションのインフラの3方面があり、衛星のインターネットが初めて「新インフラ整備」に明確に組み込まれた。

「新インフラ整備」の資金はどこから来るか?

 「新インフラ整備」を発展させるには、多様化した投融資システムを構築しなければならず、すでにある道を歩むのではなく、市場への参入をさらに開放し、民間資本を他の資本と同じように扱わなければならない。
 「新インフラ整備」はハイテク、新興産業に照準を当てているので、公共財としての非競争性と非排他性という特徴がそれほど目立たない。これはつまり、「新インフラ整備」への投資には多くの商業性が含まれるということだ。

 吉林省財政科学研究所の張依群所長は、「『新インフラ整備』への投資については、国のマクロ政策の指導の下で、官民提携の政府と社会の資金がともに投入され、ともに整備を進める「PPP」モデルを採用しなければならない。伝統的インフラ建設に比べ、市場主体の関与の度合いが、とりわけ「ハイテク企業の関与の度合いが高くなる」と述べた。
 「PPP」と特定債務が、「小さな力で大きな勝利を収める」役割を果たせるなら、数兆元規模の民間資本投資によるレバレッジが可能になる。

危機の前の新しいチャンス?

 思いがけず一致したことがある。世界中の目がそろって「新インフラ構築」の各種技術に向くようになったことだ。
 新型コロナウイルスの影響を受けて、グローバル経済は低成長に陥った。この過程で、どこの国も新たな産業革命の「命門」(生命力の源泉)を積極的に探しており、未来の発展で主導的な立場に立とうとしている。

 中国国内に目をやると、マクロ経済の下ぶれ圧力が増大し、さらなる投資の安定、成長の安定の重要性がより顕在化している。そこで「新インフラ整備」が力を発揮するのは理にかなったことといえる。

 別の角度からみると、新しいチャンスはすぐ目の前にある。さまざまな「クラウドカリキュラム」や「クラウドワーク」といった「クラウドサービス」が一夜にして花開き、その背後に5G、人工知能(AI)などの「新インフラ整備」への巨大なニーズがあることがうかがえる。

 オンラインのニーズが集中的に発揮され、「新インフラ整備」は発展のチャンス期を迎えた。最も速いインターネットを利用し、自動運転車に乗り、医療面のAIサービスを利用するなどのためには、ビッグデータやクラウドコンピューティングのサポートが欠かせない。こうして「新インフラ」という情報インフラが、今まさに発展のチャンス期を迎えている。
 一方で巨大な投資と二ーズにつながり、また一方で絶えず高度化する消費市場とつながる「新インフラ整備」は、感染症のマイナス影響のリスクをヘッジし、中国経済の成長のポテンシャルを発揮する上でプラスになる。

中国の「新インフラ整備」に日本の経済界も注目している

 日本製造業のリーディングカンパニー・日立製作所の中西宏明会長はメディアに対し、「中国が迅速な行動で感染症の蔓延を押さえ込むのに成功し、さらに科学的な感染症予防・管理システムを打ち出したことに注目してきた。この方面の今後の進展を見守る」と明確に述べた。
 「週刊東洋経済」のオンライン版は4月8日付けで解説部コラムニストの西村豪太氏のコラム「武漢『都市封鎖』終えた中国のV字回復シナリオ5GからAIまで『新型インフラ建設』大作戦」を発表した。

 西村氏によると、武漢の都市封鎖が解除され、中国は「世界の工場」を再稼働し、「新型インフラ建設」で景気浮揚を図るという。
 西村氏は元重慶市長の黄奇帆氏の書いた「新型コロナ蔓延下でのグローバルサプライチェーン再構築」という論文に言及し、日本の読者に、中国が粤港澳大湾区、長江デルタ、北京・天津・河北、成都・重慶経済圏の4つの広域経済圏構想とデジタル産業とを組み合わせて、産業基盤を強くしようとしていることを重視するよう注意を促している。

 西村氏によると、ソフト面では中国は自由貿易試験区の計画と経済圏の融合政策を整備中で、ハード面では中国は巨額を投じて5G、データセンター建設などの新型インフラを建設する。これと同時に、次世代情報技術、先端設備製造中心都市の構築も加速している。こうしたソフト面とハード面を組み合わせた措置は中国経済の全体水準を全面的に高めていくという。


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