2024年04月25日( 木 )

台湾の蔡英文総統の2期目の就任~対中国政策は変わらず

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 20日午前、台北の総統府で蔡英文総統(2期目)、新任の頼清徳副総統(前首相)の就任式が行われた。通例であれば、総統府前の広場に聴衆が集まり、パレードが行われるが、今回は新型コロナウイルスの感染防止のため、式典を簡素化し、晩餐会は取り止めとなる。蔡総統は2カ月以上前に式典の簡素化を決定していたという(台北駐福岡経済文化交流弁事処関係者)。

 式典に先立つ19日、米国のポンぺオ国務長官が蔡総統に祝福のメッセージを送った。台湾外交部によると、米国の国務長官がこのような声明を発表するのは初めてであるという。式典には台湾と国交のある15カ国の外交使節および日本台湾交流協会台北事務所長、米国在台湾協会台北事務所長などの台湾駐在機構の代表、新型コロナウイルスの感染拡大防止に功績があった者などが出席した。

台湾総統府

 蔡総統は就任演説において、冒頭で防疫に携わっている人々、市民への感謝の意を表したうえで、1月から5月までの台湾の民主的選択と防疫の成功は国際社会を驚嘆させたと述べた。中台関係について、中国が「一国二制度」によって台湾を矮小化しようとすることは受け入れないと述べた。

 2期目における課題は多くあるが、まずは新型コロナウイルスの影響を受けている経済の立て直しが急務だ。まず、中国との事実上のFTAである両岸経済協力枠組協議(2010年締結・発効、略称ECFA)が6月に期限を迎える。中国が継続を望まず終了させる場合、今後、台湾が対中国貿易で不利な状況に陥る可能性がある。この10年に台湾がFTAを締結した主要な貿易パートナーはニュージーランド、シンガポールのみであり、TPP、RCEPなどのメガFTAの交渉の枠組みにも入っていない状況である。蔡総統は就任演説において、米国、日本、欧米との貿易、投資保護協定の協議、署名に向け引き続き努力すること、新南向政策(東南/南アジア、オセアニア諸国との関係強化)を推進するとともに、潜在的な市場の開拓、産業の国際協力を進めるとしている。

【茅野 雅弘】

関連記事