2024年04月16日( 火 )

中国経済新聞に学ぶ~2000年代生まれの意外な消費観

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 女子中学生の張涵さんは最近、母親に「買ってほしいものリスト」を渡した。そこには衣替えシーズンで必要になった服、ペン、本、文房具などの必需品のほか、○○社のテープ5m、□□社のテープ7m、ポスター1枚……などと書かれていた。
 「子どもが書いた買い物リストを見ても何のことかわからない時がある。娘の欲しいものを見ているとわけがわからなくなる。一体どこからこういう情報を仕入れてくるのやら……」と任さん。

 この少し前、張さんは母親に「厳粛な交渉」を申し入れ、「買い物の自由を与えて欲しい」と訴えた。しかし任さんは娘の要求を拒否。「これは自由とか自由でないとかの問題ではない。ネットショッピングには危険な要素がたくさんあるのだから」と話す任さんだが、その裏には「買い物の自由を与えなければ、娘をいくらかコントロールできる」という口に出していない理由もある。

 張さんのリストが常軌を逸しているわけではない。最近、別の女の子で10元(150円)出してオンラインで親友のために「彼氏」を「購入」し、母親をびっくりさせたケースがある。その後、母親がよく話を聞いてみると、10元は30分間の「バーチャル彼氏」のレンタル料金で、この30分の間に「彼氏」から親友に「宿題をするんだよ」というメッセージが何件か送られるのだという。

 昨年末、騰訊(テンセント)は「00後研究報告」を発表した。それによると、9都市で3万件近いサンプルを集めた調査の結果、中学・高校生が中心の00後(2000年代生まれ)は、毎月の小遣いが平均470元(約7,050円)になる。別の取材によると、都市で暮らす00後の圧倒的多数が、一定の金額の、自分で自由に使える小遣いをもっているという。
 大人たちが「中高生の旺盛な買い物がよくわからない」ととまどっている間に、00後たちは鮮明な特色を備えた独特の消費観を形成しつつある。

 好きなもので「神」に
中学生の買い物はプロジェクト研究のよう

 ブランドのスニーカーを10数足持っている文さん(14)は、最新のナイキのバスケットシューズ「エアジョーダン」を手に入れたとき、微信(WeChat)の公式アカウントで4千字近くある長い文章を発信した。この文章を読んで、文さんの両親を含む多くの人は文さんをこれまでと違った目で見るようになった。文さんの母親の劉さんは、「息子の書いた文章を読んで、スニーカーが好きなのは単にトレンドを追いかけているのではなくて、スニーカーの研究のようなものだとわかった。友だちには『シューズの神』と呼ばれていて、靴を買う前に息子に相談する子も多い」と話した。

 「00後」を取材するなかでわかったのは、彼らが「神と呼ばれる」のを好むということだ。ちょっとやそっとでは「神」にはなれない。文さんの底に穴が空いてしまい、使い物にならなくなった。幸い、文さんは「学費」をそれほど支払わなくて済んだ。この「人生で一番後悔した消費」が、文さんのスニーカー研究への興味と闘志をかき立てた。文さんは、「靴を買う時も理性的でなければならない。私たちの年代はまだ給料をもらっていないので、靴を買うお金は親に出してもらうことになる。いい靴を見つけたら、まず研究する。研究してやっぱりいいと思ったら、次は価格が適切かどうか、両親がいいと言ってくれるかどうか考えなければならない。1千元あればほかのことに使ってもいいのに、何も靴を買う必要はないじゃないのと考える時もある」と述べた。
 研究には理性が必要だ。研究することで行動はより理性的になる。

 多くの専門家が、「00後はそれより上の世代と比べてより豊かな物質的生活を送っており、自分の趣味や嗜好を満足させられる条件がより備わっているといえる」と指摘する。「報告」も同じような結論を出しており、調査に回答した00後の77%が、「自分の慣れ親しんだ製品、または好きな製品により多くお金を使いたい」と答えたという。

 しかしお金を使うこと、イコール多額の消費であるとは限らない。たとえば張さんはあるとき、暇な時間を活用して、物入れや引き出しをひっくり返し、小さい頃よく遊んでいたシールを引っ張り出してみた。すると、ほとんどのりの消えかかった小さな紙切れが、カットしたり組み合わせたりすることで、手帳の素敵なデコレーション素材になることに気づいた。「こうやって使えばゴミが宝になるだけでなく、より重要なことはお金を節約できることで、とてもよいと思う」という。

 中高生は競争意識が強いという人は多いが、取材を通してみえてきたのは、「00後」の消費行動には機能性重視という理性的な特徴があることだ。両親の世代に比べ、「00後」はブランドをあまり気にしない。買い物をするときに、どうしても日本製品や韓国製品、米国製品でなければいやだということもない。むしろ前の世代の人々よりも中国の味があるのを好む。張さんは、「父は私の誕生日にいつも日本製やドイツ製の文房具をプレゼントしてくれるけれど、自分で買うとしたら(中国メーカーの)晨光を選ぶ。種類が多いし、見た目もいい。自分は細いシャー芯(シャープペンシルの芯)が好きだが、国産ブランドなら0.33ミリさらには0.35ミリの極細がすぐ見つかる」と話した。


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