2024年03月29日( 金 )

政権関係者重大犯罪放置国家劇場のオチ

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は「黒川氏の犯罪捜査を適正に行い、同時に、安倍内閣関係者の犯罪捜査を適正に行うことで初めて検察の正当性を世に問うことができるのではないか」と訴えた5月22日付の記事を紹介する。

 安倍内閣が強引に実現しようとした黒川弘務検事総長構想が崩壊した。
 検察の意向は林真琴検事総長である。
 黒川氏が辞任する東京高検検事長のポストに林真琴氏が就任して、本年7月に稲田伸夫検事総長が退官し、林氏が検事総長に就任する。
 こうなると検察人事は当初の検察の構想に帰着する。
 その可能性が高まりつつある。

 検察は現職の政治家、閣僚、場合によっては首相をも逮捕、起訴し得る存在で、政治からの独立性が重要な機関である。
 行政機関であり、形式上は内閣や法務大臣に人事権があるが、現実の運用においては、政治による人事介入が手控えられてきた。

 検察官OBが提出した意見書においても、
 「これまで政界と検察との両者間には検察官の人事に政治は介入しないという確立した慣例があり、その慣例がきちんと守られてきた。
 これは「検察を政治の影響から切りはなすための知恵」とされている(元検事総長伊藤栄樹著「だまされる検事」)。」
 と指摘された。

 検察は安倍内閣が検察人事に露骨に手を入れてきたことに反発した。
 検察庁法改正案に対する強い反対姿勢はこのことを背景にしたものだ。
 黒川氏の常習賭博罪事件によって黒川氏が失脚して検察人事が原状回復を遂げる。
 この方向が明確になりつつある。

 ここで注視が必要な重大問題が浮上する。
 河井克行夫妻の公選法違反容疑事件のゆくえだ。
 広島地検は河井克行衆議院議員、河井杏里参議院議員の立件に向けて精力的な捜査活動を継続している。
 コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除されれば河井克行議員の逮捕許諾請求に進むと推察されている。

 この場合、検察はさらに踏み込んで自民党本部に対する家宅捜索を行う必要がある。
 なぜなら、河井克行氏による現金贈与の資金源が自民党本部からの資金であると見られるからだ。
 河井陣営に異例に1億5,000万円の資金が提供された。
 この資金が買収資金として活用されたと見られる。
 さらに、その1億500万円の一部が安倍首相陣営に還流したとの見方も浮上している。
 河井議員案件は安倍首相事案に発展する可能性を秘めている。

 他方、桜疑惑では弁護士や法律学者などの法律専門家600人超が刑事告発を行った。
 検察が告発状を受理した場合、捜査を行う必要が生じる。
 ホテルニューオータニ、ANAホテルにおける桜を見る会前夜祭の費用明細書類を検圧当局が押収すれば、公選法違反に該当するのかどうかの判断がつくと見られる。

 今後の動向は検察の行動がカギを握る。

※続きは5月22日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「政権関係者重大犯罪放置国家劇場のオチ」で。


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