2024年04月24日( 水 )

地域資源を活かした魅力的なまちづくり~「西区まるごと博物館構想」とは

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今津湾

地域と行政で、資源の保存育成

 西区の「宝」とは何か――。市民の声を集約した結果、2つの言葉が浮かび上がった。「自然」と「市民」だ。これを踏まえて2004年に「福岡市新・基本計画 西区基本計画」が策定され、その翌年には「西区まるごと博物館構想」が立ち上がった。

西区の宝『丸隈山古墳』

 西区まるごと博物館構想が目指しているのは、魅力的で個性的なまちづくりだ。実現に向けては地域と行政とが協力し、区内の自然、歴史、文化、産業など、有形・無形の地域資源の保存と育成に取り組んでいる。また、各地域資源間で回遊性をもたせることで、来訪者に西区全体を1つの「博物館(ミュージアム)」として楽しんでもらえるよう、SNSなどを通じて情報発信も積極的に行っている。
 そして、こうしたさまざまな取り組みを先頭に立って進めているのが、構想と同時期に誕生した「西区まるごと博物館推進会」(以下、推進会)だ。

 19年2月には、西市民センターに4名の講師を招いて「邪馬台国講演会」を開催。当日は想定をはるかに上回る800名もの市民が参加した。こうした事業活動は、会員のボランティアによって支えられているという。
 活動を通して得られる喜びや感動と、地域の活性化につながる成功体験の積み重ねが、活動を継続する原動力になっているのだ。

推進会が登録した「西区の宝」155件

西区の宝『四所神社』

 推進会では、西区の魅力的な場所や伝統的な催事を「西区の宝」として認定。ホームページやSNS上で情報共有を図っているほか、「西区の宝」パンフレットや散策マップなど、学びながら西区を散策できるような創意工夫もなされている。有形・無形の地域資源を西区の宝として認定することで、市民の保存に対する意識を向上させ、情報発信することで周知を促し、交流人口の増加に貢献する。
 認定された西区の宝は、155件(20年3月末時点)。この宝の数々を、確実に次世代へとつないでいくためにも、推進会の存在はますます重要となるだろう。

 西区は、福岡市の中心部である天神・博多と、豊かな自然を背景に観光地としてにぎわう糸島市の間に挟まれ、両エリアへの交通アクセスに優れている好立地。九州大学伊都キャンパスが誕生してからは、学術研究都市としての性格も帯びてきている。住まう場所として、訪れる場所として、西区の魅力を再発見する絶好の機会だ。この機会を最大限に生かし、魅力的なまちづくりを進めるためにも、市民1人ひとりが悠久の歴史が生み出した西区特有の文化、建造物、景観といった資源に改めて目を向けることが必要だ。その一助として、推進会の活動、そして情報を役立ててほしい。

【代 源太朗】

西区の魅力(宝) 発掘・発信から保存・活用へ

西区まるごと博物館推進会 会長 川岡 保 氏

 2006年3月に、西区の宝を発信する地域イベント「西区まるごと博物館in小戸公園」を実施しました。推進会で取り組んだ初めての事業でしたが、スタッフ数164名、出店団体数30団体(33店舗)、出展団体5団体、ステ-ジ出演団体13団体(300名)、警備15名、参加人数約5.000名、協力17団体、協賛40社など、多くの皆さまのご協力の下、無事に成功を収めることができました。このイベントの成功をきっかけに、会員の気持ちが1つになり、伝統ある福岡市西区の歴史、自然、文化等の魅力を発信して、広く地域内外に広げようという気運が高まったと感じています。

 これまでは西区の魅力(宝)の発掘と発信に努めてきましたが、今後は保存と活用を重点目標に置いて活動していきたいと考えております。

 昔から、「玉磨かざれば光なし」といいます。宝の場所の清掃、案内看板の設置、宝の場所でのイベント実施などを通じて、福岡市西区が日本中探してもどこにもない歴史、自然、文化溢れる個性的で魅力的なまち、住んで楽しい、住民が誇れるまちになってほしいと思います。福岡市西区には日本最古の王墓「吉武高木遺跡」があり、伊邪那岐尊が禊祓をされた、いわゆる「筑紫の日向の橘の小戸の檍原」の旧跡といわれる場所でもあります。

 私たち西区まるごと博物館推進会は、こうした西区の魅力である「西区の宝」をその悠久の歴史とともに、地域内外へもっと広く発信して行きたいと思います。


<INFORMATION>
西区まるごと博物館推進会

推進会事務局
TEL:092-895-7032
Facebook:https://www.facebook.com/f.nishiku

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