2024年04月18日( 木 )

次世代冷暖システム「F-CON」を核に、世界に羽ばたく「FUTAEDA」へ(前)

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FUTAEDA(株)代表取締役社長 二枝 たかはる 氏

 アニーグループの4社(KFT(株)、ユア・ハーベスト(株)、グレートモーニング(株)、(株)遊星)を合併・統合し、今年4月に新たな社名として生まれ変わったFUTAEDA(株)。健康・快適空間事業と位置付ける送風のない次世代冷暖システム「F-CON」を核に、ホテル事業「GREAT MORNING」や健康食品・雑貨事業「Annyのお気に入り」などを手がける同社は今後、世界的なパラダイムシフトが起こりつつあるなかで、どのような手を打っていくのか―――。同社代表取締役社長・二枝たかはる氏に聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)

海外展開と上場視野に、創業者名を社名に

 ―今年4月1日付で、KFT(株)がユア・ハーベスト(株)とグレートモーニング(株)、(株)遊星を合併したうえで、社名を「FUTAEDA(株)」と変更しました。まず、このローマ字の社名に込められた思いについてお聞かせください。

FUTAEDA(株)代表取締役社長
二枝 たかはる 氏

 二枝たかはる氏(以下、二枝) 日本発で世界に羽ばたいているグローバル企業には、「トヨタ」や「ホンダ」などを始め、創業者の個人名を冠したところが多くあります。また、我々が手がけている次世代冷暖システム「F-CON(エフコン)」という装置は、“送風のない次世代エアコン”として、創業者である私が自信をもって世に送り出したものです。その私自身の責任所在を明確にするという意味と、先ほどの世界に羽ばたいていく企業という意味を込めて、あえて私の個人名を社名にしたのです。

 ―これまでの4社を統合して新会社にしたということは、近い将来に上場を目指されているということでしょうか。

 二枝 上場は、我々が目指しているものの、1つです。おかげさまで、当社では大変すばらしいブレーンの方々に恵まれており、彼らの力を借りて、日本全国に、そして世界に事業を展開していきたいという気持ちが、まず1つ。また、これまでの10年間の酸いも甘いも含めたさまざまな経験で鍛えられ、当社の特許戦略も現在うまくいっています。ブレーン的にも、特許的にも、「これなら世界に行ける」という基盤が整えられてきたことで、上場を視野に入れた動きを始めたところです。

ホテルをモデルルームに、「F-CON」普及促進へ

 ―これから新たなチャレンジを加速させていくということですが、御社の本業はホテル「GREAT MORNING」の展開でしょうか。それとも、「F-CON」の販売なのでしょうか。

 二枝 当社の本業は、次世代冷暖システム「F-CON」の普及です。「F-CON」は、これまでは「光冷暖」という名前で2010年から提供を行っていましたが、従来のエアコンとは違って輻射熱で冷暖房を行うことで、無風・無音でストレスゼロの快適空間をつくり出すというものです。今年4月の社名変更と同時に、ブランド名を「F-CON」に改めました。

 一方のホテル「GREAT MORNING」は全館全室に「F-CON」を導入しており、宿泊者に快適な滞在時間を提供することで、「F-CON」の良さを実際に体感してもらうことを目的にしています。いわば巨大なモデルルームのようなもので、「F-CON」の普及のためにホテルがあるといっても過言ではありません。このホテルの全国各地での展開を進めることで、そこが宿泊できるモデルルームとなり、次世代冷暖システム「F-CON」の普及を加速させていきたいと思っています。

 ―まず、日本市場としてはどのような手を打っていかれるのですか。

 二枝 これまで行ってきた、地元密着の工務店さんとの提携が、まずは基本的な柱の1つです。加えて、現在は国立病院や公立の学校などでの採用実績も増えてきておりますし、公的な建物のなかでの導入実験なども少しずつ進んでいますので、こうした公的な施設での普及にも努めているところです。

 さらに、今後は民間のオフィスですね。今年8月には、ある世界的な企業の研究室の冷暖房システムとして当社の「F-CON」が採用される予定ですし、大手ゼネコン数社からも受注をいただいている状況です。こうした大手企業になると独自に研究所を構えていて、研究者の方々とのディスカッションや、場合によっては一緒に実証実験を行ったうえでの採用・発注ですので、通常の受注とは訳が違います。いろいろと厳しく精査したうえで、当社の「F-CON」の特性を高く評価して、受注をいただいておりますので、とても嬉しく、そしてありがたく思っています。

 ―海外市場については、どのように攻められますか。

 二枝 海外での事業展開は、やはりその国ごとに根付かれている地場企業とのタイアップを考えています。たとえば、現在中国では、上海本社の会社と提携を結んでおり、6月には上海でモデルルームをオープンするほか、いろいろな商業施設やホテルなどでの展開をこの1~2年で進めていく計画です。あと韓国では少し時間がかかっていますが、今夏にはモデルルーム1号をオープンする予定です。

 ―中国や韓国だと、気象条件なども日本とほぼ一緒でしょうから、「F-CON」の良さが発揮できますね。

 二枝 あと、副次的なものになりますが、当社の「F-CON」を使って冷房を行うと、結露水が発生します。これまでこの結露水はすべて廃棄していたのですが、このたび結露水を再利用して飲み水を生成するという特許を、日本を始め、シンガポールやフィリピン、タイなどで取得できました。東南アジアには水事情が悪い地域などもありますので、冷房を行いながらプラスαで飲用水を生成できるという機能は、受け入れられるのではないかと思っています。

(つづく)

【坂田 憲治】


<COMPANY INFORMATION>
FUTAEDA(株)

所在地:福岡市博多区店屋町3-23
設 立:1999年3月
資本金:1億円
TEL:092-281-1200
URL:https://www.futaeda.com


<PROFILE>
二枝 たかはる(ふたえだ・たかはる)
1959年、福岡県生まれ。88年にライフショップ「Annyのお気に入り」、2003年にストーンスパ「石の癒」を開業。オリジナル商品を主軸とした雑貨業や独自開発のストーンスパ、次世代冷暖システム「F-CON」(旧・名・光冷暖)など、ユーザーの生活に寄り添った商品開発を実施している。20年4月にグループ4社を合併・統合して自らの名前を冠した社名「FUTAEDA(株)」とし、代表取締役社長に就任した。

(後)

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