2024年03月29日( 金 )

毎年襲い来る豪雨災害にどう備え、どう対処すべきか――(前)

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「数十年に一度」ではない

 今年7月3日から発生し、熊本県を中心にした九州南部を始め、九州北部や中部地方などの広範囲を襲った豪雨に対し、気象庁は「令和2年7月豪雨」と命名した。この豪雨は全国各地で553件の土砂災害を発生させ、全壊587件を含めた1万6,064件の住家被害と、死者・行方不明者85人といった甚大な被害(いずれも7月20日時点、内閣府発表)をもたらしたほか、道路や鉄道、橋脚、河川などの交通・社会インフラなどにも、復旧までに長期間を要する規模の尋常ではない爪痕を残している。

 今回の豪雨を含めて、近年は「数十年に一度」や「未曽有」「想定外」といった物々しい形容詞を冠した自然災害が毎年のように発生しているように思われる。だが、それもそのはずで、実際に毎年発生しているのだ。

 気象庁による「大雨特別警報」の発表基準には、「台風や集中豪雨により数十年に一度の降雨量となる大雨が予想され、若しくは、数十年に一度の強度の台風や同程度の温帯低気圧により大雨になると予想される場合」とある。基準を見る限り「数十年に一度」という文言が非常に印象的だが、実はこの大雨特別警報、数十年に一度どころか、13年8月の運用以降は毎年途切れることなく、約7年間で計16回も出されている状況(【表】参照)なのだ。

 今回の「令和2年7月豪雨」でも、すでに3回も大雨特別警報が出されている。この点、気象庁によるそもそもの基準が甘かったと考えるべきか、それとも、かつては本当に「数十年に一度」だったレベルの災害が、温暖化などの気候変動によって起こりやすい状況になっているのか。そのどちら(あるいは両方)なのかは判断に迷うところだが、ただ1ついえるのは、「数十年に一度」という文言に惑わされることなく、もはや「豪雨は毎年発生するもの」というように認識を改めねばなるまいということだ。

(つづく)

【坂田 憲治】

(後)

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