官民共同事業で存在感、北九州の住宅団体・北住協(後)
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共同事業は減少も、新プロジェクトへ
現在、北九州市では、少子高齢化による人口減少が顕著となっている。そのため市は、開発よりも福祉へと大きく舵を切っており、その影響もあって、市と北住協との共同事業も、2002~04年頃をピークにプロジェクト数が減少している。
一方、市内でかつて開発された新興住宅地では、住民の高齢化や相続開始による空き家も目立ってきた。いわゆる「空き家問題」だ。空き家問題のポイントの1つは、相続人の特定やその居所を知ることの難しさがある。市内では、課題となっている空き家問題に取り組むべく、改めて北住協との共同事業がもち上がっているようだ。そこで、民間では手を付けにくい相続人らとの手続きを行政が行うことで、空き家の処分などが円滑に進むよう民間をフォローするという。
創設以来、北住協の事務局を務めてきたアドテック・藤井会長は、「時代の変遷もあって現在では入札案件が増えており、北住協と北九州市の共同事業は減少傾向にあります。しかし、人口減少にあっても北九州市はそれなりに大きな街ですから、住宅に関する取り組みはこれからも続けていかなければなりませんし、地元の住宅会社にしかできない取り組みも多くあると思っています」と話す。アドテックは、マンションや戸建の広告作成を手がける広告代理店で、藤井会長はアドテック創業前から北九州の住宅会社と長年関わってきた。
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北九州は、県内でも地場企業が強い特異なエリアだ。福岡市内で積極的なデベロッパーでも、北九州市内で開発するケースはゼロといっても過言ではない。そのため、地場の業者が強く、住宅市況自体は「長いこと悪い」(アドテック・藤井会長)といいながらも、地場の住宅会社は堅調に販売を続けてきた。事業規模は徐々に縮小させながらも、高い自己資本比率を誇る北九州市の住宅会社は、販売期間の長期化にも耐え得る体力を有しており、福岡市内のマンションプロジェクトよりも規模の大きなマンションが多いのも特徴だろう。地場企業のシェアが高いからこそ、北九州市や北九州市住宅供給公社は長年にわたって北住協と手を取って共同事業を続けてきた。これからは、空き家対策、住宅のメンテナンスなど、地場企業ならではのフットワークが求められる時代だ。会員企業数は最盛期から半減したが、その分、十分な体力をもっている住宅会社が多い。
北九州市は一部の斜面地において、市街化区域から市街化調整区域へと“逆線引き”することを決断した。難しい局面に入り住宅の課題も多く抱える北九州市が、地場企業と手を取ってどのような住宅政策を進めていくのか、注目していきたい。
(了)
【永上 隼人】
<INFORMATION>
北九州住宅産業協議会(北住協)
会 長:中屋敷善三((株)なかやしき)
事務局:(株)アドテック(北九州市小倉北区清水3-13-38)
TEL:093-571-1222
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