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2020年08月07日 17:55

【横田一の現場レポート】〈解散・総選挙は今秋〉説が無視できない理由 維新人気で「Go To改憲」

■維新は、安倍政権の補完勢力

 コロナ禍にあってもなお、今秋の解散・総選挙説が永田町では囁かれている。7月15日には維新副代表の吉村洋文・大阪府知事が、地方分権の超党派勉強会「新しい国のかたち(分権2.0)」で講演した際、大阪都構想の住民投票予定日を11月1日と示す一方で、解散・総選挙で10月25日が投開票になった場合には1週間ほど前倒しすることも表明したのだ。

 元経産官僚の古賀茂明氏の見方とも一致。7月31日号の『週刊朝日』の記事で、維新代表の松井一郎大阪市長が吉村氏と同じ発言をしたことを紹介している。

 「大阪では、菅官房長官が松井一郎維新代表に秋の選挙日程を伝えたという噂が流れた。それを裏付けるように、11月1日予定の大阪都構想の住民投票について松井氏は、秋に解散総選挙なら、その日程に合わせて前倒しもあると発言した」(「古賀茂明『解散で接近する安倍総理と吉村知事』」より)

維新代表の松井・大阪市長(右)と橋下徹・元大阪市長

 維新代表の松井・大阪市長と橋下徹・元大阪市長に加え安倍首相と菅官房長官は定期的に食事をするほどの“蜜月関係”にある。橋下氏の後継者のような維新副代表の吉村氏も官邸と連絡を密にしながら秋口解散に向けて足並みをそろえているように見えるのだ。

 過去最低の内閣支持率を記録したうえにコロナ第2波が重なっても秋口解散説が消え去らないのは、政権補完勢力である維新抜きには考えられない。第2次安倍政権の“産みの親”のような存在である維新が、危機的状況を打開して延命させる役割を買って出ているともいえる。

 安部首相がここまで長期政権を築けた背景には、「維新」勢力の伸長がある。2012年に、選挙プランナーの草分け的存在である三浦博史氏が、「今年(2012年)の日本の政治は大阪から動く」と予言した通り、橋下市長(当時)が同年4月に「大飯原発再稼働に邁進する野田(民主党)政権を倒す」と宣言、開講した維新塾で候補者を発掘して次期総選挙での擁立を発表したことで、政権奪取の可能性すら取り沙汰され始めた。その勢いを踏み台に返り咲いたのが、日本政治史上最弱の総理経験者だった安倍首相。維新との太いパイプを使って再び存在感を示すようになり、同年9月の自民党総裁選で勝利して12月の総選挙でも圧勝、総理大臣に再登板をはたしたのだ。

 それ以降、安倍政権と維新との蜜月関係は今に至るまで続いている。与野党対決法案に賛成して安倍政権に協力することで、維新は地元・大阪でのインフラ整備拡充や肝煎り政策であるカジノ、万博への支援を政府から引き出してきた。まさにギブ・アンド・テイクの関係で、秋口の解散・総選挙でしか安倍政権の展望が見えてこない危機的状況のなか、再び維新が助け舟を出す可能性は高い。

■維新人気で「Go To改憲」?

 古賀氏は先の記事で、安倍政権にとって「今秋解散は至上命題」である事情を次のように解説している。

 「今秋選挙ができなければ、冬はコロナで解散できず、来年の五輪中止でさらに支持率が落ちれば夏の選挙もできないまま9月の自民党総裁選を迎える。衆議院議員の任期は来年10月。その直前の総裁選は選挙の顔を選ぶことになり、地方に人気の石破茂元幹事長が有利だ。それだけでなく、ポスト安倍の指名権も失い、天から地に落とされて、検察が桜を見る会や森友・加計などの問題を蒸し返してくる可能性さえある。

 一方、今秋選挙を終えれば、来年9月は選挙の心配がない。党員投票は石破氏1位でも、国会議員の決選投票なら、最大派閥細田派(事実上安倍派)と他派閥の領袖たちの談合で、石破回避、岸田文雄政調会長が後継という可能性もある。こう考えれば今秋解散は至上命題なのだ」

 ここで登場するのが維新だ。総選挙で自民党が数十議席減となっても、“吉村人気”で支持率上昇傾向の維新躍進は確実と見られるため、悲願の憲法改正に必要な3分の2を改憲勢力で占めることができると目論んでいるというわけだ。

吉村洋文・大阪府知事

 安倍首相の不人気による議席減を、“吉村人気”の維新の議席増で埋め合わせようとする露骨な戦略だが、「歴史は繰り返す」とみるむきもある。“橋下人気”による第1次維新ブームを踏み台にして誕生したのが第2次安倍政権であったが、今回は“吉村人気”による第2次維新ブームによって安倍政権延命を画策しているからだ。

 実際、維新副代表と大阪府知事を兼任する吉村氏のメディア露出度は、当時の橋下氏と同等以上。地元大阪では「爽やかさでは橋下さんを抜いた」(北新地の経営者)という声も出るほどで、維新が立憲民主党を抜いて野党トップの支持率を記録する原動力になっている。

 また安倍首相にとっても吉村氏は橋下氏と同様、頼もしい存在だ。7月15日の地方分権の勉強会で吉村氏は、大阪都構想を中心に講演をしながら自民党の憲法改正の姿勢についても言及。「『憲法改正をやる』と言いながら本気でやっているとはまったく思わない」と、改憲加速化を促す発言までしている。

 コロナ対応で「最も評価している政治家」の第1位となった吉村府知事(兼 維新副代表)だが、安倍政権の延命装置のような役割をはたしていることにも注目する必要がある。政権補完勢力の維新に再び勢いを与え、永田町動向にも影響を与えることになるのか。

【ジャーナリスト/横田 一】

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