コロナ禍で苦境となったカプセルホテル、ナインアワーズが再生へ(後)
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再生条件は大都市圏、駅チカ
ナインアワーズが再生を手がけるのは、東京、名古屋、大阪、福岡などの大都市圏で、かつターミナル駅徒歩数分の立地に限定している。都内最大規模のカプセルホテル「新宿区役所前カプセルホテル」(1987年開業、436室)も、JR新宿駅から徒歩約4分の好立地。改修工事は小規模にとどめ、サウナの強化に注力した(6月1日施工開始、7月1日開業)。「再生物件でも20~30代や女性の利用が増えている」(渡邊氏)といい、サウナには本場フィンランド式で蒸気浴ができる「ロウリュ」を設けた。
さらに、ホテル併設のレストランを廃止した。人件費などサービスコストが高く、面積あたりの売上増加を見込めず、簡易調理メニューで近隣飲食店との味やサービスの差別化ができないためだ。代わりに、お酒やおつまみの自販機を充実させている。すでに、大阪/心斎橋(140室)、東京/神田(100室)、千葉中央(144室)、大宮(36室)、蒲田(284室)、川崎(194室)の6店舗で再生実績があり、売上が2倍以上となったケースも珍しくない。
ホテル運営コスト、徹底的に合理化
利用者の大半を男性が占めていたカプセルホテルで、女性や外国人の利用を取り込むためには、インターネットからの集客力強化が欠かせない。ナインアワーズでは、自社サイトやSNSでの情報発信を充実させたほか、宿泊予約ポータルサイト掲載を見直し、独自のマーケティングノウハウで集客力を高めてきた。
「今後はビジネススタイルの変化で出張が減り、カプセルホテルを取り巻く環境も激変するはずだ。『ナインアワーズ』利用者の約3~4割を占めていたインバウンドの完全回復は、2022年以降と予想している。ビジネスホテルでのテレワーク利用は、それほど増えておらず、今後も大幅に需要が増加するとは考えられない」(渡邊氏)といい、国内観光や出張需要などを重視し、エリアの特性を見極めて集客する。
運営コストも、徹底的な合理化を進めている。シフト調整などで人件費を削減、さらに自社サイトでの予約に集約することで、ポータルサイトでかかる費用を削減、アメニティの一括大量購入による仕入れ費用の圧縮を図ってきた。一方で、口コミでアメニティ評価が低い場合は、逆に予算を上げることもあるという。
今後のホテル需要の動向について渡邊氏は、「『Go To Travelキャンペーン』で、少しずつ利用が戻るだろう。冬に懸念されている第2波がなく推移できれば、21年3~4月頃には国内移動は概ね戻るだろう」(7月2日取材時点)と話した。
(了)
【石井 ゆかり】
<COMPANY INFORMATION>
(株)ナインアワーズ
代 表:代表取締役 Founder 油井啓祐
代表取締役 CEO 松井隆浩
所在地:東京都千代田区神田錦町3-19-1 不二ラテックスビル7F
設 立:2013年8月
資本金:2億9,000万円(資本準備金含む)
売上高:(20/3)約16億円関連記事
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