2024年04月24日( 水 )

中国経済新聞に学ぶ~トランプ氏はなぜTikTokの禁止に拘るのか(後)

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 米国のトランプ大統領は6日、アメリカ企業に対して、動画共有アプリTikTok(ティックトック)とメッセージアプリの微信(ウィーチャット)を運営する中国企業との取引を45日以内に停止するよう命じた。トランプ政権による「反中国キャンペーン」の高まりを示す動きとして受け止められている。

 TikTokをめぐっては、米マイクロソフトが中国ByteDance(バイトダンス)と買収交渉を進めているが、トランプ氏は買収交渉の期限を9月15日までと設定した。
 トランプ氏はなぜTikTokの禁止にこだわるのか。

TikTokは米国ユーザー約1億人を獲得

 米CNNは、「トランプ氏のTikTok禁止令により、反トラスト法(独占禁止法に相当)違反の騒動を繰り広げてきた大手テクノロジー企業が、米国での主導的地位をさらに強化するかもしれない」と分析している。

 TikTokは短期間のうちに約1億人の米国ユーザーを獲得したが、その多くは広告会社やテクノロジー企業が喉から手が出るほど欲しがる若いユーザーだ。TikTokは、SNS界の新たなスターや爆発的に普及するスタンプを生み出し、大衆文化に大きな影響を与えている。

 トランプ氏は、「米国企業の全額出資によるTikTokの買収を受け入れたくない」と発言し、マイクロソフトがTikTokを全面的に買収したとしても、TikTokを禁止するという大統領令に署名している。

 米テクノロジー誌「WIRED」(ワイアード)の二コラス・トンプソン編集長は、「今回のことからトランプ氏の偽善が明らかになった。このような言論の自由に反対する行動には、実はトランプ氏の別の計算がある。CNNの分析では、こうした対処の仕方は米国政府のテクノロジーに対するさらなる『警告』であるともみなされている。2016年の大統領選挙以来、米議会では、シリコンバレーの大手テクノロジー企業を抑止しなければならないという一種の共通認識が徐々に形成されてきた。民主党は、大手テクノロジー企業の市場への影響力や監督管理不足感に懸念を感じるとし、一方共和党は、SNSプラットフォームに存在する反保守の偏見に焦点を当てている」と述べた。

大統領選挙に大きな影響力

 トランプ氏はTikTokに「個人的な恨み」がある。トランプ氏は、開催した「タルサ集会」でTikTokの影響を受けて入場者が減り、面子を失った出来事があったのだ。

 今年6月にオクラホマ州タルサ郡で開いた選挙集会に先立ち、トランプ氏の選挙チームは「100万人が集会の入場券を申し込んだ」としていたが、タルサ市消防局の公式データでは、当日に入場したのは約6,200人にとどまり、2万人を収容できる会場は空席が目立ったという。

 米メディアが明らかにしたところでは、「トランプ氏の選挙集会へのキャンセル」の多くはTikTokで始まったものであり、TikTokでもっとも人気のある有名人のなかには、トランプ氏のヒステリックさをあざ笑ってさらに人気を高めた人が多いという。TikTokは、トランプ氏の恨みを早くから買っていたといえるだろう。

 米経済誌「Forbes」(フォーブス)7月号が紹介した世論調査によると、米国の成人のうち33%が「TikTok禁止令に反対」しており、29%の賛成を上回ったという。

 TikTokの米国ユーザーは非常に多いことを考えると、トランプ氏がこのアプリを禁止したなら、大統領選での再選に「政治的影響」が出る可能性がある。

 TikTok禁止に向けて着実に歩みを進めようとするトランプ氏の動きに対し、TikTok米国法人のバネッサ・パパス社長はフォロワーに向けた動画のなかで、「私たちは皆さんの支持の声を聞いている。ありがとう!私たちはどこにも行くつもりはない」とコメントを発表した。

 トランプ氏がTikTokを禁止するかもしれないというニュースが伝わると、TikTokの米国の若者ユーザーがツイッターで「TikTokを救え」(#SaveTikTok)という投稿を発信。また数日前には、あるユーザーが「トランプ氏が本当に大統領令に署名した場合は、ホワイトハウスに行って、トランプ氏と対峙する」と動画で発言している。


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