ミスミ、中小製造業の支援として部品の無償提供を開始

　機械部品の製造・販売を手がける （株）ミスミグループ本社（以下、ミスミグループ）は8月25日、同社の提供するサービス「meviy（以下、メヴィー）」を活用する製造業の中小企業を対象に、12月31日まで先着100法人に1社あたり最大10万円限定で製造部品を無償提供することを発表した。

　無償提供は、低迷する日本の製造業界において「競争力の強化」「コロナからの復興のきっかけ」となることを目的としている。ミスミグループは5月にも、医療機器や医療物資を製造する企業に対して、図面手配部品の無償提供を実施している。

　ミスミグループ本社執行役員兼3D2M企業体社長・吉田光伸氏は、これまでの取り組みを踏まえ、「米中貿易摩擦に加えて、コロナ禍の影響も重なり、製造業界全体の業績が下落の一途をたどっている」と危機感を示した。そのうえで、国内の製造業界の業績を巻き戻すためには、中小企業の力が必要不可欠であるとした。

　吉田氏は、製造業の構造的課題として、生産年齢人口の減少による「人手不足」とともに、働き方改革などによる残業時間の抑制からの「時間不足」の両方による深刻化を解決するためには、デジタルツールを活用した労働生産性改革が必要であると強調した。

　これまでの機械部品の発注・製造工程では、作図、見積、発注などのプロセスが多くの時間を要しており、中小企業は「時間」を使うことで成立していた。しかし、人手と時間の不足が懸念される現在は、中小企業に時間の猶予はない。

　メヴィーは2016年に開始されたサービスで、独自のAI自動見積技術と3D CADデータを導入することで、画期的な時短に成功。発注者から提供された3D設計データを基に製造プログラムを自動で作成し、各工場とダイレクトに連携することで最短1日出荷という驚異的なスピードを実現させ、製造業界に革命を起こしたサービスといえる。

　ミスミグループはシステムの向上を継続することで、サイトレスポンスが当時に比べて15倍、アプリ開発・保守効率が4倍となっていることをアピールし、7月中旬から「新生meviy」として正式にリニューアルしていることを発表した。

　今後のビジネス展開として、労働生産性改革を世界レベルで推進し、サービス進化・アライアンス強化・グローバル化の3つを促進する方針を示した。

【麓　由哉】

＜COMPANY INFORMATION＞
（株）ミスミグループ本社
代表者：西本 甲介（代表取締役会長）
　　　　大野 龍隆（代表取締役社長）
所在地：東京都文京区後楽2-5-1
設　立：1963年2月
資本金：130億2,300万円
売上高：（19/3連結）3,319億3,600万円

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