2024年04月17日( 水 )

福岡市・七隈の生活インフラ~花みずき通り商店会の取り組み

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 福岡市地下鉄・七隈駅~金山駅間の約1.2kmのエリアに点在する商店が加盟する「花みずき通り商店会」。福岡市内の幹線道路の1つである「城南学園通り」沿いおよびその周辺で、軒を連ねる商店および企業数は45を数える。

文教と住宅の街~城南区七隈

 花みずき通り商店会は、昭和30年代から「七隈本町商店会」と呼ばれた商店街が形成され、地域住民から親しまれていたのが始まり。当時は、鳥飼梅林線(現・城南学園通り)に沿うかたちで、小規模の商店が並んでいたという。

 2013年から同商店会の相談役、19年からは会長を務める福岡市議会議員の調崇史氏は、「一般的に商店街は、商店が集中して軒を連ねていますが、花みずき通り商店会は、一般的な商店街のように集中しているのではなく、店舗が点在しています。そのため、商店街と呼ぶのではなく、商店会という名前で仲間としての意識づけを行っています」と話してくれた。

 花みずき通り商店会が位置するのは、北に中村学園大学、南に福岡大学、周辺には松山団地・金山団地・茶山団地などの大型団地を背景に持つ文教と住宅の街だ。05年2月に福岡市地下鉄七隈線が開通したのを機に、商店会の顔になる城南学園通り沿いに街路樹としてハナミズキが植えられ、商店会の名称も現在の「花みずき通り商店会」へと改称された。

ポータルサイトや情報誌でも発信

 花みずき通り商店会は現在、45の店舗と企業で形成されている。調会長は、「地域を活性化させ、生活インフラを維持するため、商店会のお手伝いをしてきました。私自身、この七隈のまちで幼少のころからずっと過ごし、今も家族と金山団地に住んでいます。私にとって花みずき通り商店会は、ふるさとの情景そのものです。金山団地ができて半世紀が経ちますが、それからさまざまなお店が軒を連ねるようになり、地域住民の生活インフラの中核を担い続けて、今日に至ります」と話す。

 調会長は相談役時代から、商店会の運営に関するさまざまな事務的なサポートを続けてきた。自身の政務活動事務所である市政相談所も、13年から商店会の会員だ。同商店会の主な情報発信ツールである花みずき通り商店会情報誌「MIZUKI」や商店会ポータルサイトは、調会長が中心となって運営されてきた。

 商店会には、飲食店を始めとした生活サービスの事業者や、金融機関の支店など、業種・業歴もさまざまな企業や店舗が所属している。08年の「幸福の黄色い郵便ポスト・幸福の黄色いベンチ・花いっぱい運動」などのイベントやワークショップは、商店会と地域住民、そして福岡大学や中村学園大学の学生らが連携して行ったものだ。花みずき通り商店会は地域コミュニティの核として、もはや欠かすことのできない存在となっている。

「幸せの黄色いポスト」と「幸せの黄色いベンチ」

独自の取り組みで城南区を牽引する

花みずき通り商店会マップ

 他方で課題もある。大きな課題は商店主の高齢化だ。「コロナ禍での自粛による売上減については、国や自治体がさまざまな支援を行いましたが、その申請がことごとくネットを経由するものだったので、とくに高齢の事業主の方々には困難が生じました。自分は支援の対象ではないと誤解をしているケースもあり、何らかの支援が必要だと実感しています。感染第一波の際には、各種申請の支援に努めたつもりですが、状況によっては再び休業補償が実施される可能性もあるでしょう。7月中旬時点で、福岡市でも再び感染者が増加に転じていますので、行政には情報格差への対応を急いでもらいたいと思います」(調会長)。

 同商店会の今後の展望については、「城南区では、花みずき通り商店会だけが組織的な活動を維持できています。他の地域商店街との連携・共存を図り、花みずき通りをもっと元気にしていきたいですね」(調会長)と意欲を見せる。これからも花みずき通り商店会は、地域住民の生活インフラの1つとして、そして地域住民の交流の場として、地域活性化における重要な役割を担っていくだろう。

 

【河原 清明】

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