すり鉢の底・渋谷の浸水対策~駅東口に4,000m3の雨水貯留施設(前)
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1999年の集中豪雨では地下街の浸水被害も
ゲリラ豪雨の多発により大都市で懸念されるのは、地下街への浸水被害だ。渋谷駅東口では、約4,000m3の雨水貯留施設の整備が完了し、東京都下水道局の管理で8月31日から稼働している。同施設は、「渋谷駅街区土地区画整理事業」(以下、本事業)の一環として、代表者を東急、同意施行者をUR(都市再生機構)とする共同施行者により整備された。
渋谷駅付近は東急電鉄、JR、東京メトロ、京王電鉄の4社9線が集まる交通の要衝だ。多くの商業施設が並び、新型コロナ感染拡大前に比べて約35%減(9月8日時点、JIJI.COM、データ提供:(株)Agoop)といえど、商業地として依然多くの人で賑わっている。
その渋谷駅は、公園通り側を代々木台地、宮益坂側を東渋谷台地、道玄坂側を西渋谷台地と三方を台地に囲まれ、すり鉢状の地形の谷底に位置しているため、降雨時に雨水が溜まりやすい。1999年夏の集中豪雨では、地下街への浸水被害も発生しており、近年の豪雨増加による水害の発生が懸念されてきたエリアだ。地下街への浸水を防ぐため、雨水貯留施設や取水管の整備が急務とされてきたが、駅周辺には鉄道も多く、高層ビルなどの建物が密集しているため、すぐに整備することは困難だったという。
そこで、今回の渋谷再開発が機会となり、本事業共同施行者は雨水貯留施設の整備を開始した。2011年2月に同施設を着工、14年8月に掘削を終え、同施設の本設工事を開始。雨水貯留施設は渋谷駅東口広場の地下約25mの深さに位置し、その大きさは南北約45m、東西約22m、体積は4,000m3だ。施工者は、東急建設・清水建設・鹿島建設の共同企業体(JV)。
東京都下水道局は、06年に渋谷駅西口の道路の地下に約4,000m3の雨水貯留管(内径約2.6m、延長約764m)を整備していた。東京都は激化する豪雨に対してさらなる対策強化を進めており、1時間あたり50mmを超える豪雨に対応できる施設の整備を進めている。
東急は、「100年に一度といわれる渋谷の大規模再開発を機会にして、1時間あたり75mmの降雨に対応できる効率的な雨水貯留施設を整備した。大都市の防災機能が格段に向上することが期待され、渋谷を訪れる方々に、安全、安心に、まちを利用していただけるようになる」と話した。
(つづく)
【石井 ゆかり】
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