2024年04月19日( 金 )

基準地価 福岡は上昇続くが天神ビッグバンに懸念の声も

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 国交省は、今年7月1日時点の地価調査の結果を発表した。全国全用途の平均は、2017年以来の下落に転じ、三大都市圏では名古屋圏が12年以来の下落、東京・大阪は上昇を継続した。東京・大阪は住宅地で減少に転じた。札幌市、仙台市、広島市、福岡市の地方四市では全用途で上昇を継続している。

 調査によれば、前半(19年7月~19年末)は好立地の住宅地や商業地で堅調だったが、後半(20年1月~6月)に上昇幅の縮小や下落の動きがあったという。とくに商業地で下落が目立ったほか、三大都市圏、とくに名古屋圏は下落地点数が多くなる結果となった。地方四市は住宅地、商業地いずれも上昇を継続しているが、上昇幅は大きく落ち込んだ。

住宅地

 都道府県別では、宮城県、東京都、福岡県、大分県、沖縄県の5県(前年は15)のみが上昇。下落は前年を上回る42道府県(前年は32)となった。

商業地

 宮城県、千葉県、東京都、神奈川県、京都府、大阪府、広島県、福岡県、熊本県、沖縄県の10都府県で上昇(前年は19)。下落は36道県(前年は26)となった。

上昇率上位

 住宅地トップは、沖縄県宮古島市で37.3%の上昇。トップテンのうち8件が沖縄県だった。9位に大分市が入った。商業地も宮古島市がトップで、38.9%の上昇となった。商業地でもトップテンのうち7件が沖縄県だった。10位に福岡市博多区博多駅前3丁目・日本政策金融公庫福岡支店(16.1%)がラインクインした。

下落率上位

 住宅地トップは東京都日野市平山で18.4%下落、日野市は10位にも入った。商業地トップは岐阜県高山市で9.3%下落、その他は北海道や東北地方が目立った。

福岡県

 住宅地は16年に上昇に転じて以来、上昇を継続しているが今回(0.8%)は上昇幅が縮小(0.9ポイント減)。福岡市も上昇を継続(3.5%)するが、上昇幅は縮小(1.8ポイント減)した。市内上昇率トップは中央区六本松4丁目(8.0%)、下落率トップは早良区西入部2丁目(▲0.4%)となった。
商業地も同様で、16年から上昇(2.1%)を続けるが、上昇幅が縮小(1.9ポイント減)した。福岡市も上昇幅が縮小(5.3ポイント減)した。

 再開発が続く福岡市内の商業地では、天神ビッグバンの目玉プロジェクトの1つ「天神ビジネスセンター」が、来年9月の完成を控えて入居テナントの募集を続けている。募集賃料は坪あたり3万円と福岡トップクラスだが、コロナ禍でキャンセルの動きも出てきているようだ。「某国内メガベンチャーの入居が決まっていたが、キャンセルになったようだ。当初はフロア貸しに絞って募集していたが、区分けして貸し出すことも検討していると聞いている。契約済みは3分の1くらいでは」(業界関係者)。

 このようにオフィスビルでは、地元企業による解約の動きは多くないが、中央資本の出店・拡張ニーズは減退しており、「もう少し様子見したい」という不動産投資家も少なくない。解体が進む福ビルを筆頭に、市内では大型オフィスビルの建替え計画が目白押しとなっており、リーマン・ショック時のような「フリーレント1年」の再来も懸念されている。

【永上 隼人】

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