第一生命が詐欺容疑で『実録 頭取交替』登場の元社員を刑事告発 (3) 詐欺の手口の検証
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第一生命保険(以下、第一生命)の特別調査役だった正下文子は詐欺容疑で刑事告発されているが、筆者は被害者の1人から相談を受けて面談した。正下文子の手口は、以下の通りとなっている。ただし、被害者の特定を防ぐため、被害額は変えており、被害者の仮名をAとする。
~詐欺の手口を検証する~
◆被害者Aは正下文子と旧知の間柄で、正下文子の勧誘で第一生命と一家で生命保険契約をしていた。ある日、正下被疑者が来訪し、「私は利回り30%で運用できる『特別枠』をもっている」とAを熱心に勧誘。Aが「利用できる預金は1億円ある」というと、正下被疑者から「それではまだ少ないため、第一生命と契約しているあなた方ご夫婦や息子・娘さんらの生命保険を引き当てに、第一生命から1億円を借入することができる。手続きは私がします。預金と合わせて計2億円を運用させてほしい。第一生命からの借入利息は5.75%~3.75%であるものの、特別枠の運用で30%の利息が入るため、まったく問題はないですよ」との説明を受けて応諾したという。その後、Aの主人が亡くなり、主人の借入金は保険金で相殺している。◆正下文子によると、「特別枠」の運用は2019年に実行されたが、「特別枠」であるため、すべて現金で準備してほしいとの条件が付けられたという。そのため、Aはメインの銀行から帯府付きの1,000万円を20束、合計2億円を引き出して正下被疑者に手渡したという。正下被疑者はもちろんのこと、乗ってきたタクシーの運転手も慣れた手つきで手伝っていたという。Aは「そのときの出来事を振り返れば、他の被害者も同様に現金で手渡ししていたのだと思う」と語ったことが印象的だった。
◆預けた2億円の利息は3月、9月に支払われることになっていたため、Aは支払いを請求したが、一向に支払いがなかったため、「騙された」と気付いたという。Aは「結局、預けた2億円の元本だけでなく、受取利息を一銭も手にすることがなかった」と話した。
第一生命は正下被疑者を7月3日付で懲戒解雇処分したが、第一生命の西日本マーケット統括部(福岡市博多区)と第一生命の本社(東京都千代田区)が弁護士を連れて挨拶に来たのは、2カ月余り経った9月14日だったという。<まとめ>
【表1】は山口銀行の歴代頭取の推移表である。筆者は6年前の2014年10月15日、『実録 頭取交替』を発刊しているが小説の舞台となった維新銀行のモデルは山口銀行であり、作中の山上正代のモデルは正下文子である。同行が正下文子との関係をそのときに遮断していれば、新たな被害者を生むことはなかったのではないだろうか。(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】
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