第一生命が詐欺容疑で『実録 頭取交替』登場の元社員を刑事告発 (8)第一生命の経営成績
【表1】を見ていただきたい。第一生命ホールディングス(以下HD)(株)の経営成績推移表である。
~この表から見えるもの~
◆2020年3月期の経常収益は前期比▲699億円(億円以下切り捨て)の7兆1,140億円(前期比-1.0%)となっている。
・経常利益は前期比▲2,145億円の2,183億円の4,329億円(前期比-49.6%)とほぼ半減している。
・親会社に帰属する当期純利益は前期比▲1,926億円の324億円(前期比-85.6%)と大幅な減益となっている。
◆2021年3月期 第1四半期(20年6月期)の経常収益は前期比▲388億円の1兆7,913億円(前期比-2.1%)と新型コロナウイルスの影響を受けていることがわかる。
・経常利益は前期比▲283億円の767億円(前期比-26.9%)。
・当期純利益は前期比▲109億円の408億円(前期比-21.1%)と、経常利益とともに前期比-20%台の落ち込みとなっている。
◆5月15日に2020年3月期の決算を発表した際には、2021年3月期(通期)の決算が新型コロナウイルス影響を大きく受けると想定してはいなかったが、第1四半期の決算を発表した8月12日に、図の通り、2021年3月期(通期)の収益予想を発表している。
・それによると、経常収益は前期比▲6,27億円の6兆4,870億円(前期比-8.8%)と減収予想。
・経常利益は前期比+1,396億円の3,580億円(前期比+63.9%)。
・当期純利益は前期比+1,515億円の1,840億円(前期比+467.3%)と大幅な増益予想となってしている。
<まとめ>
生命保険大手の第一生命保険(東京都)は今月2日、西日本マーケット統括部徳山分室(山口県周南市)に勤務していた80代の女性元営業社員(特別調査役)が、客に架空の金融取引をもちかけて不正に資金を集めていたと発表した。
上記の通り、第一生命HDの2021年3月期(通期)の当期純利益は大幅な増益予想となっている。【表2】の通り株価も大きく落ち込んでいない。そうであれば、元社員の正下文子(89歳/昭和6年7月20日生まれ)の詐欺により被害を受けた被害者に対し、全額を弁償することこそが再生への近道なのではないだろうか。
(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】