第一生命が詐欺容疑で『実録 頭取交替』登場の元社員を刑事告発 (18)多額詐欺事件の真相
当サイトで連載中の第一生命保険西日本マーケット統括部徳山分室を舞台にした架空金融詐欺事件。正下文子被疑者は、顧客に架空の金融取引をもちかけて不正に資金を集めていた。被害者は21名を超え、被害総額は約19億円とされているものの、さらに被害総額が増えることは必至だ。
今回の詐欺事件により、大手生命保険業界独特の風土が浮き彫りとなった。その大きな特徴とは、一般の想像を超えた顧客とのつながりの存在だ。正下被疑者から被害を受けた顧客らは、完全に正下被疑者を信じ切っており、手書きの証文で、数千万から億円単位の契約を結び、お金を預けていた。
これに対して、大手生保OB支店長経験者は「大なり小なり起こり得る風土はあります」とコメント。ずば抜けた営業成績を残していた正下被疑者は、支店長のみならず本社役員にも大きな影響力をもっており、とくに優れた営業員として「上席特別参与」や「特別調査役」の肩書を与えられていた。これは第一生命特有の高待遇であり、十年以上にわたって正下被疑者の不正を見逃してきた第一生命にも責任があるといえる。
今後、地元政財界の上層部と深いつながりを有していた正下被疑者の逮捕によって事件の全容解明が待たれる。