2024年03月29日( 金 )

【凡学一生の優しい法律学】三権分立論の嘘(1)

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 日本国民の大部分が、日本は三権分立の民主主義国であると信じている。しかし、彼らは政治的制度について論理的にも事実実証的にもまったく確認することなく、「制度の建前=真実」という極めて稚拙な認識をもってはいないか。
 日本が真の意味で民主主義に基づく三権分立国であるかどうかは、憲法の記述と現実に発生した政治事件の顛末を検討・検証すること確認できる。大事なことは、「自分が信じる日本社会が嘘の社会であることを実感するために憲法を読む」という視座で臨むことであり、「難しい」「難解」と思い込む自己の内面がそもそも「誤った認識に毒され、洗脳されている」ことを知るべきである。

憲法の記述~その1~目次を読む

 三権分立論の嘘を体感していただくために、憲法の目次を記載する。
 目次レベルではまちがいなく、三権(立法権、行政権、司法権)が記述されている。ただし、憲法の本質的構造を知るためにはほかの章も重要であるため、すべてを記載する。

 第1章:天皇(1条~8条)
 第2章:戦争の放棄(9条)
 第3章:国民の権利及び義務(10条~40条)
 第4章:国会(以下条文の表示は中略 ※)
 第5章:内閣
 第6章:司法
 第7章:財政
 第8章:地方自治
 第9章:改正
 第10章:最高法規(97条~99条)
 第11章:補則

憲法の解説

 本稿とは直接関係ないが、安倍晋三総理大臣が政治生命をかけて取り組んできた憲法改正は第9条の1条(2項)、わずかの条文数である戦争放棄規定である。時代の変化や法律学などの発展にともない、量的にも現在の日本国民にとって改正、修正する必要のある条文が数多くあることを知っていただきたい。それを示すために、一部条文の明細を示した。

 第4章から第6章まで、立法権、行政権、司法権に関する条文が存在しており、目次の上ではたしかに三権分立が明記されている。ただ、国民の憲法に対する理解はこの程度のものではないか。

 条文の内容が問題なのであるが、大部分の国民はその内容を知らず、公教育でも知らされていない。数学の三角関数のsin、cos、tan(サイン、コサイン、タンゼント)の概念やその計算習得よりはるかに重要な基礎知識であるのに、教育プログラムはまったくバランスを欠いている。為政者の悪意すら感じざるを得ない。

 公教育の教科書では、三権分立の具体的証拠として抑制と均衡(チェックアンドバランス)と主張する制度が記述されている。以下に概要を記すが、もちろん建前である。

(1)国会による内閣に対する「内閣不信任決議」:
 決議が成立すると、内閣は総辞職するか国会を解散するかの二者択一を迫られる。
(2)国会の立法に対する司法権・裁判所の違憲立法審査権
(3)内閣による裁判官の任命権及び国会による罷免権

 以上の具体的制度が現実にはすべて機能不全であるか、説明がなされることなく重大な効果をもつ制度として運用(悪用)されているため、実際は「嘘の制度」であるとともに、憲法がぼろぼろにされた実態について具体的に説明する。その有り様は日本特有の「法律詭弁の世界」の様相を呈している。なお、その原因が憲法の法規範としての完成度の低さにあるのか、日本の法匪が似非法律解釈論を構築したのかという議論については本稿の目的ではない。

(つづく)

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