2024年04月19日( 金 )

未曽有の危機――事業者に寄り添い地域経済活動の再興に全力(後)

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大牟田商工会議所 会頭 板床 定男 氏

市全体の活性化を支援

 ――イベントを通じた、まちづくり・地域活性化への取り組みについてはいかがですか。

大牟田商工会議所

 板床 まず、何といっても「おおむた『大蛇山』まつり」です。残念ながら今年はコロナで実施できませんでしたが、さまざまな団体が関わりながら市民とともに行われる、大牟田では一番のイベントです。昨年9月に、九州中の祭りを集結させた「祭りアイランド九州」というイベントが熊本市でありましたが、手前味噌ながら我々の大蛇山まつりが一番目立っていたように思います。大牟田市民の心を1つにする大イベントですので、「来年は必ず開催しよう」という目標で、市民や事業者が一丸となって頑張っていくためのシンボル的な位置づけになるのではないかと思います。

 ほかに当会議所の主催で毎年4月に商売繁盛を願う祭り・イベント「大牟田二十日えびす」を開催しているほか、「おおむたまちゼミ」や「おおむた100円玉笑店街」などのイベントについても商店街と連携するなど、商店街や地域活性化の支援にも取り組んでいます。さらに昨年公開された大牟田市が舞台となった映画「いのちスケッチ」では積極的なプロモーションを行ったほか、先ほどの「祭りアイランド九州」参加など、市外に向けたシティプロモーション活動にも力を入れています。

 ――近隣自治体の経済団体とのつながりは。

 板床 実は、荒尾市を含めた有明海沿岸地域の福岡・熊本・佐賀・長崎の4県にまたがった自治体の商工会議所・商工会32団体で、「九州中部商工連合会」という任意の団体をつくっています。県域を越えた沿岸地域の一体的な発展のために1954年8月に大牟田の発案で創立された団体で、当会議所の会頭がずっと会長を務めており、これまで道路インフラの整備や税制改正、学校誘致などの要望を連携して行ってきたほか、地域としての意見を取りまとめていくような役割も担ってきました。

 こうした広域での連携は全国でも珍しく、国内他地域のモデルケースになり得るのではないかと自負しています。現在は広域的な連携による観光振興などにも取り組んでいるところです。

 ――最後に、市の将来に対する期待の声をお聞かせください。

大牟田商工会議所 会頭 板床 定男 氏

 板床 最盛期より減ったとはいえ、大牟田市はいまだ10万人を超える人口の都市です。また、これまでの歴史のなかで培ってきた、ものづくり技術に支えられた産業の集積や、医療・介護施設の充実、道路や鉄道、港湾などの整った交通インフラ、ESD(持続可能な開発のための教育)の取り組みを含めた優れた教育環境など、非常に高いポテンシャルをもったまちであることは間違いありません。

 現役の重要港湾でありながら世界遺産に登録された三池港もありますし、隣接地では新たなバイオマス発電所の建設も進んでいます。完成すれば港の利用も活発になり、大牟田の新たな“武器”となるでしょう。また、中心市街地の核の1つである新栄町駅前では再開発に向けての検討がされているほか、市役所本庁舎が位置する大牟田駅前エリアでも、再開発・活性化に向けての機運が高まっていきそうです。

 市の将来に向けては、これまで培ってきた産業やインフラなどの“ハード”に、これからの時代に対応していくためのIT技術や人材育成などの“ソフト”をベストミックスさせていくことが、まちづくりの要になっていくでしょう。当会議所でも、市内事業者への支援サービス実施だけでなく、市全体の賑わい創出・経済活性化に向けて、全力で取り組んでいきたいと思います。

(了)

【坂田 憲治】


<プロフィール>
板床 定男
(いたどこ・さだお)
1937年6月、長崎県口之津町(現・南島原市)出身。祐徳近海汽船(株)・取締役会長や壽海運(株)・代表取締役社長などを務める。大牟田商工会議所では副会頭を経て、2004年11月に会頭に就任。現在、6期目。

(前)

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