2022年06月30日( 木 )
by データ・マックス

第一生命が詐欺容疑で『実録 頭取交替』登場の元社員を刑事告発 (27) 田中特別社友のトラウマから逃げられない山口金融グループの実態 (2)

田中相談役は2002年6月、後任の頭取に田原鐵之助氏を指名した。しかし、その後、更迭に動くことになったのは、田原氏が頭取に就任早々、田中相談役が頭取時代に膨らませた不良債権を一気に前倒し処理したことや、田中相談役と親しい第一生命の正下文子との癒着問題を糺そうとしたからだ。

<頭取更迭へ>
2004年5月21日(金)午前、田原頭取を議長とする経営会議が開催された。メンバーは各地区本部長および各部門担当の本部役員で、臨時決算取締役会議に提出する議案の審議が行われた。2004年3月期の決算などについては問題なく全員が賛成だった。
 次に役員人事案が提出された。役員の指名権は代表取締役にあるが、役員選任は代表取締役であっても平取締役であっても全員1票であり、役員会での多数決によって決まる。自身の再選を提案した田原頭取に対して、(1)罷免、(2)後任の取締役に財満寛萩支店長兼浜崎支店長、(3)後任の代表締役頭取に福田浩一取締役東京本部長とする動議が提案された。会議室が凍りつくような空気なったのは想像に難くない。

【表1】を見ていただきたい。経営会議における田原頭取罷免動議の裁決表である。
~この表から見えるもの~
◆罷免反対の改革派のメンバーは田原頭取と力を合わせて不良債権を処理した本部役員である。
◆一方、田原頭取の罷免に賛成する守旧派のメンバーは、組合幹部出身者と田中相談役と同じ慶応卒の役員。田中相談役は組合対策のエキスパートとして、日立製作所から山口銀行に入行。いわゆる「御用組合」を組成したことが認められ専務に昇進。伊村光頭取の後を受けて頭取に就任すると組合幹部出身者を次々と役員に引き上げており、『いざ鎌倉へ』と田中相談役のもとに馳せ参じ決起した、いわゆる「子飼い役員」によるクーデターであった。ただ組合役員出身者のうち、井上秀則取締役(事務管理部門担当)だけが筋を通して、田原頭取の罷免に反対している。
◆結果は田原頭取罷免動議に賛成する守旧派が6人(うち組合役員出身者4人)。罷免動議に反対する改革派は5人(うち組合役員出身者1人)。6対5の賛成多数で田原頭取罷免が決定し、午後から開催される臨時決算取締役会議で決議される議案となった。

<まとめ>
 田中相談役は役員ではないので、午後から始まる取締役会議には出席できないが、午前中に開催された経営会議はオブザーバーとして出席し、自身が描いた田原頭取更迭議論がシナリオ通りに進むのをじっと見守っていたという。

▲クリックで拡大▲

(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

(26)
(28)

関連記事